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仕事を終えて私が「珈琲屋」へ着いたのはもうすぐ二十時という頃だった。店の扉を開けるとスパイシーな香りの中で雄真とユエが酒を飲み交わしていた。私の到着に気づき二人が視線を寄越す。
「おかえり、丁度ドリアがもうすぐ焼き上がるところだったんだ」
「ただいま。今日はユエをありがとうね、大丈夫だった?」
「散々な目にもあったが、まあ楽しかったよ」
「?…何かあったの?」
くたびれたという感じで話す雄真に何があったのだろう?気になったが食事をしながら話すと言ってカウンターの方に行ってしまった。配膳の準備に向かったようだったから私は雄真に続いてカウンターへと向かい、渡される食器やサラダなどの配膳を手伝いながらユエにも声を掛けた。
「ユエはどうだった?」
『だいぶ力の回復が進んだよ。雄真があちこち連れて行ってくれたおかげだ』
「それは良かったわね。真の姿にはもう戻れそう?」
『あと一歩というところだの』
「そう、なかなか完全に回復しないのはもどかしいわね」
言いながら私はテーブルにサラダなどを並べていく。
『いや、脅威的な回復速度なのだよ実は。いつもは浄化も力の回復も数日でなど済まぬのだからの。本にこの世に満ちる気の素晴らしい事よ。だのに、完全なる回復に至らぬ己が情けなくも思うがの』
「焦らないで、回復が進んでるのは確かなんだし」
ユエの髪は最初の頃よりもその黄金の艶が増して見える。昨日と比べても格段に。力の回復の度合いを教えているようだ。その頭を撫でて私はユエを励ました。
「回復速度を上げるなら、属性ってのを意識してみるのが良いんじゃないか?」
ドリアを運んできた雄真が言いながら席に着く。テーブルに置かれたドリアのぐつぐつと踊るチーズが食欲を刺激した。とろけるチーズの下には卵も隠れているのが分かる。たまらず私の視線も意識もそちらへと向かう。
「美味しそー!でも、カレーのような香りがしてない?」
「昨日もミートソースのパスタだったろ?だから少しカレー粉足してアレンジしたんだよ。焼きカレードリアだ」
ミートソースのポテンシャルの高さには恐れ入る。




