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異世界に精通している私は目の前に異世界生物が現れても動じない②  作者: さえ
第三章 パワスポ巡り

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5-3

「ところで雄真、あなたお盆休み中じゃなかったの?」


 私は雄真に向き直り質問する。お盆休みの張り紙にあった営業開始の日付はまだ先のはずだ。


「ああ、急ぎで豆の納品をしてくれって泣きつかれてな。さっき受け渡しが終わったんだが、来ちまったら色々気になって結局仕事になっちまってた」

「本当、人が良いんだから。でもそれじゃあ邪魔をしてしまったわね、ごめん」

「別に大した事してた訳じゃないから大丈夫だ。それにお人好しはお互い様だろ。千歳だってこんな時じゃなきゃ来れない客の為に店開けてんだから」

『二人は仲が良いのだな』


 会話に割って入ったユエの言葉に私たちは顔を見合わせる。


「まあ、幼馴染だからな」

「うん。お互いに読書好きだから小さい頃から本の貸し借りをしたりしてきたのよね」

『ほう、お互いに、のう。して、今だにつるんでおると』

「そうね。ご近所さんだしいつでも珈琲豆が買えるし、ついでに最近読んだ本の感想を言い合ったり出来るし。何より雄真の作るミートソースが絶品だから仕方ないのよ」

「何だよ仕方ないって」


 雄真は私の言葉に心外といった様子だ。


「仕事帰りにテイクアウト出来るし他でミートソースを食べようって思わなくなっちゃったのよね。ここを早く閉めて休みに入ったって張り紙がされてた日も当てにしてたから、一から別の味付けでパスタを調理する羽目になって大変だったんだから!」


「そりゃ、悪かったよ。でも豆を差し入れてやっただろ」


 食べ物の恨みは恐ろしい。食べたい物が食べられずにいたせいで雄真に当たってしまった。豆を差し入れしてもらった事なども忘れて。


「ああ!そうだった!豆、本当にありがとう。もう切れそうだったから助かったわ。なのに、ごめんなさい」

「いいよ、別に。夕飯はこれからか?休み前の余りを冷凍してたやつがあるけど食うか?」

「いいの!?やった!」


 昔から、私が理不尽に怒ってもさらっと流してくれる良いやつなんだよな。黙って私たちのやりとりを見ていたユエの事も雄真はちゃんと気にかける。


「ユエも食えるのか?」

『いや、食事は不要だ。だが千歳、いつものは頼む』

「はいはい。家からとってくるから待ってて」


 いつもの?と不思議そうな雄真と酒が飲めると上機嫌のユエを残して私は一度自宅へと戻った。



※※※※※


『複雑な思考は好ましいが、難儀になるものもあるのだな』

「何の事だ?」


 千歳が店を出るとユエが訳のわからない事を言ってきた。


『元々読書など好いておらなんだくせにのお』

「なっ!思考が読めるとか言わないよな!まさか、ずっと俺たちの思考を読んでたんじゃ、、」

『千歳にはやめろと言われたから読んでおらんよ』

「お、俺のは、、?」

『さっきので分からぬか?』

「俺の思考を読むのもなしだ!」

『くっくっ、仕方ないの』


 ったく、人智を超えた存在ってのは厄介だな!






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