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境内はかなり広く立派な本殿拝殿を有する神社が二つ名を連ねて存在する。敷地内に小さな社が点在する神社は多いだろうが、二つの神社が名を連ねるというのは中々に類を見ないように思う。他にもあるのかも知れないが、海を見下ろすこの場所の素晴らしさは確実に貴重だと思う。長い間この海と、その海と共に歩む人々の暮らしを見守る場所だったのだ。
その歴史は奈良から続き、平安の初期にはその存在が文献にも登場している。蝦夷平定のため政府から赴任する人たちの精神的支えにもなり篤い信仰を向けられていた。現在の社殿は江戸時代、当時日光東照宮の改修にあたった藩主がその後にその時の職人を呼び寄せ造営させた物で造りがよく似ていると言われている。
広い荘厳な敷地をユエと共にゆっくりと散策した。
「あ、お茶屋さん開いてる。ちょっと休みましょうか」
『神酒はあるかの』
「甘酒ならあると思うけど、神酒でなければやっぱりユエの力にはならないかしら?」
『この地の水とそれで出来た米から出来ておるなら問題なかろう』
ただの酒好きのようになってるが、まあ楽しんでもらえるのならいいかと思い茶屋で甘酒を購入し二人で休憩した。
「米麹で作ってあるからアルコールは入ってないそうよ。残念だろうけど、お陰でその姿のユエでも飲めるのだから良かったわね」
『別に神の気を含む水であれば良いから酒である必要はない。この地を流れる水で出来た米で作られるこの甘酒も力を回復させてくれよるよ』
という事はやはり神社で手に入れる神酒でなくても良いという事だろうか。米でも良いならおにぎりとかの方が安上がりなんだけど。
『千歳、よからぬ事を考えるのはよせ。今後も我は神酒を所望する』
「ちょっと!もう思考は読まないって約束でしょ!」
『読んでおらんよ。米、と呟くその顔をみれば考えておる事くらい想像がつく。やはり神酒は最も回復量が多いでの、今後も頼んだぞ』
「はいはい」
ゆったりとした空気と時間が流れている。清らかな空間にいると居心地の良さにその場を離れがたく思ってしまう。だが日も傾き始めた為そろそろ帰路に着いたほうが良さそうだ。
「ユエ、そろそろ帰らないと。力の回復具合はどう?」
『先の神社もここの気もだいぶ我の力を回復させてくれた。連れて来てくれた事、感謝する』
「もう十分に回復出来たの?」
『いや、完全まではまだ掛かりそうだ。よくしてもらっておるのに不甲斐なくてすまぬ』
「気にすることないわ。こうして神社や良い気の流れる場所に来れて私も嬉しいもの。次はどこへ行こうかしら、楽しみにしててね」
『本に優しい子よの』
私の言葉にその見た目に似合わない穏やかな微笑みをユエは浮かべた。
来訪地【志波彦神社、塩竈神社】
敷地内から海を見下ろす事も出来る大きな神社です!
※お茶屋さんは週末(金土日)だけの営業のようです。。(要問合せ<(_ _)>)




