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長く話をしたからか、それからユエはまた微睡み出したため今日はこれくらいにして眠りにつく事をすすめた。ユエが眠ってしまってから水と御神酒を改めて器に満たしながらユエの回復を早める方法はないかと私は思案していた。神様のような存在であるユエは日本の神様が好む物で良い効果を得られていたようだし、いっそ神社とかパワースポット巡りでもしてみようかと考える。
地元にも有名なスポットは多い。水にまつわる神社や厄払いで有名な神社とか良いかもしれない。だが問題はどう連れ歩くかだ。三十三にもなってぬいぐるみを抱えて歩いているように見せるのは辛すぎる。そもそも、この部屋から出す事は大丈夫なのか。結界は張れそうって言ってたけど力を使わせる訳にはいかないかも。
とりあえず、ユエが次に目を覚ましたら相談してみよう。不浄や穢れを神様は嫌うからユエにまだ不浄が残っているのなら連れていけないし、それも確認する必要がある。出掛けられるとなった時のためにいくつか候補地は決めておこうと眠くなるまで地元のパワースポットを検索して過ごした。
翌朝、仕事に出掛ける準備をしているとユエは目を覚ました。
「おはよう、気分はどう?」
『悪くない。神水の気が特に我の回復に役立っておる』
そう言ってぴょんとテーブルに移ると朝から美味しそうにお酒を飲む。私は仕事で飲めないのにちょっとずるい。
「ここの加護の中なら安心って言ってたけど、そうなると外に出るのは拙いのかしら?」
昨日の夜に考えたパワースポット巡りが可能か確認するためにユエに質問してみた。
『いや、結界を張れる程には回復した故問題ない』
「結果を張るのに力は必要ないの?」
『広範囲を覆うのは膨大な力が必要だが、我自身だけならなんて事はない』
「じゃあ、ここじゃなくても結界を張ったまま眠っての力の回復を図ることも出来る?」
『今はもうそれも可能だ』
場所の移動は問題ないようだ。それなら仕事場へ連れて行くことも出来る。肝心のもう一つの懸念事項の確認も忘れてはいけない。
「ちなみに、不浄とやらはまだその身に残ってるの?昨日は風鈴が霧散させてくれたと言っていたけど」
『この地に辿りついた時に大方祓われてはおる。表面に引っかかっていたものは千歳が拭き清めてくれたであろ?あとは我に深く入り込んだ僅かな不浄のみであったが、我の下に忍ばせてくれた小さき札や清らかな音色、そして神酒が祓いきったようだ。おかげで昨夜にやっと意識を保つ事が可能となったのだよ』
という事は、パワースポットに連れて行く事も出来そうだ。やはり暑さのこもる日中に残しているのは忍びなかったから出来れば連れて行きたい。しかし、ぬいぐるみを抱きながら歩くのはちょっと、、、
『どうしたのだ?』
私の複雑そうな顔を不審に思ったようでユエが聞いてくる。約束通り私の思考はもう読んでいないようでホッとした。
「ユエが良ければ仕事場に連れて行きたいなと思って。途中で神社とかに寄ってみるのも良いかもと思うんだけど、その姿は注目を集めてしまって危険な目に遭わせるかもなって」
それに神社の中って獣の連れ込みってダメだったかも。いや、鶏を放している神社もあるからユエなら平気か?いやいや、そもそもサッカーボール大のひよこなんていたら皆んなを驚かしてしまうからそもそも無理か。
『神社とはこの地の神の城だな。そこを離れたこれらもなかなかの力を放っておるから、その場に行けば確かに我の助けにもなるやもしれぬ。だが、この見た目では駄目なのか』
「身を小さくするなんて出来ないわよね?」
こういう特別な存在って自在にその大きさを変えたり出来る設定のものもあるからユエも出来ないかなと思い聞いてみる。せめて、キーホルダーとかのサイズなら何とか私でも持てそうだと思ったのだが。
『これ以上縮む事は出来ぬが、人の子に化ける事は出来るぞ。ほれ』
そう言うとテーブルから飛び上がりソファに着地して見せた時には三歳児程の姿になっていた。
(金髪の男の子、可愛い!)
「凄い!その姿なら問題ないわね」
そう言いながら風呂場に走りバスタオルを掴んで戻る。それをユエに巻き付けて時計を確認する。まもなく十時、歩いているうちに開店時間となるはずだ。




