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【悲報】ダンジョンで撮影したら、間違って誤配信してました〜回避特化な私が、何故かバズってしまった件  作者: 水定ゆう


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第69話 何もなかった洞窟

こんな結果…

 千世と師走は洞窟の丘を目指して歩いていた。

 理由は特にない。

 ここまで来たのだから、せっかくと言うことで洞窟の奥まで行く。


 正直先頭にはなってほしくない。

 むしろなられたら終わりだ。

 それぐらい疲弊しているのもあるけれど、千世も師走も戦えるような状態ではなかった。


「モンスター、居ないね」

「今は、居ないに越したことはないよー」


 師走もテンション高め。だけど分を弁えていた。

 右手は未だに使えない。

 左手一本の勝負になる。


「千世は戦えるでしょ? 今は前衛頼むよー」

「た、戦えるけど……でも、戦いたくないよ」

「平和主義だなー」


 平和主義の何が悪いのか。

 千世には理解不能。師走も別にバトルが好きではないけど、今は前に出て貰った方が安全だ。


「いいからいいから、私の代わりに前に出てよ」

「うわぁ!」


 背中を押されてしまった千世。

 転び方になるが体重移動で踵を落として難なく耐える。


「急にやめてよ」

「やめたよ?」

「そう言うことじゃなくて……はぁ。帰りたい」


 やることは済んだ。だから帰りたい。

 千世は本音を吐露していくが、ドンドン洞窟の奥へと引っ張られる。


 別にこの先に何があるのか、目的などはない。

 しかし行ってみる価値はある。

 このダンジョンが如何なっているのか。次来た時は危険なのか、千世はそれだけは興味があった。


「おっ、見えて来たよ!」


 師走が指を指した。

 洞窟の奥は暗く、道幅が少し広がっていて、丸みを帯びていた。

 そのおかげで分かったのだが、ようやく最奥に到着。ここまでモンスターによる襲撃はなく、如何やら他にまともなモンスターは居ないようで安心した。


「ふぅ、これで一安心だよ」


 千世も安堵して胸を撫で下ろす。

 洞窟の奥へと進んでみた二人。カメラドローンのライトで周囲を照らすと、二人は驚愕した。


「「えっ?」」


 言葉を失った。いいや、失うしかなかった。

 ダンジョンと言うもの。それは未知への探究心が詰まった特別場所。

 だけど本質的には生き物。

 だからだろうか? 洞窟の最奥、そこには何も無かった(・・・・・・)


「えっ、嘘ー」

「何にも無いよ? こんなことって、あるの?」


 実際、普通のダンジョンでもなんでもない洞窟で、先が無い場合はあるらしい。

 テレビのバラエティで洞窟探検をやった時も、何も見つからずに[今回は何も見つからなかった]的なオチはある。

 だけどここまで来て、こんなに苦労して、こんなに頑張ったのに、何にも無いのは流石に堪える。


「あっ、あははははぁ。結構くるねー」

「そ、そうだね」


 千世と師走もくたびれて溜息が出る。

 乾いた笑いを浮かべてしまい、カメラドローンにバッチリ撮られた。


 にしてもこんなオチとは。

 流石にあんまりすぎて、立ち上がる気になれない。とは言え、何も無いなら帰るしかない。


「よいしょっと。千世?」


 師走は千世に声を掛けた。

 しかし千世は立ち尽くしたまま、何もない洞窟の開けたスペースを見つめる。

 特に何か眠っている訳ではない。だけど、ちょっぴり虚しくて、悲しくなった。


「ここで命を落としちゃった人達。こんな何も無い洞窟に何かを求めてやってきたんだよね」

「う、うん。そうっぽいね」

「なのに何も得られずに、逆に何かを失っちゃった。今回は、その……命だったんだよね」

「そ、そうだねー」

「何だか冷たいし儚いよ」


 千世はそんなことを呟いた。

 だってそうだ。ダンジョンに未知を求め、何かを得るためにやって来た。


 漠然としていて掴みどころはない。

 なのにこの所業はあんまりだ。


 しかと千世達はまだ良い。

 結果的に報酬を得ることが叶ったのだから。

 とは言えここで死んだ人達の記憶は拭えない。何も得られずに、何かを失った。それだけが色濃く残り、この場所に滞留してしまった。

 そしてそのことを知っている人はごく僅か過ぎて、冷たくて儚い。そんなダンジョン不条理さに心を痛めた。


「あはは、笑えないねー」


 しんみりとした空気が流れる。

 千世と師走を取り囲むのは、ダンジョンの持つ特殊な感性だろう。


 精神力が高いから飲み込まれはしない。

 しかしながら、少しは影響を受ける。

 空気がドンドン変化していき、やがては大きな暗闇になるのではないだろうか?


 ダンジョンは中に入って来た人達の精神エネルギー食べて成長したりもする。

 だからこれ以上凶悪になって欲しくないので、ポジティブな思考回路を持つ師走は気を振り切った。


「もう帰ろっかー」

「う、うん」


 師走は千世の気持ちを汲んでくれた。

 こんな所に長居をしてはいけない。

 そう思ったらしく、頭の上で腕組みをしたまま歩き始めた。


「あっ、ちょっと待ってよ師走!」

「ん?」


 千世はそんな師走を呼び止める。

 何かあったのかなと首を捻るが、千世は振り返り、この洞窟で死んだ人達のことを思う。


「手は、合わせておかない、かの?」

「手を? ふーん、やっぱり千世は良い子だね」


 師走は千世のことを評した。

 別に褒められることでもない。千世がそうしたいからで、師走も連動して(なら)う。


「「どうか安らかにお眠りください」」


 こんな所で眠れるとは思えない。

 だけど知らない人にこれ以上送る言葉は見つからず、二人は手を合わせてそう呟くのだった。

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