第62話 カベトカゲを倒そっか
カベトカゲが良い感じのモンスターすぎる。
天井から落ちて来た。
モンスターはひっくり返っている。
体長はそこまで大きくない。大体一メートル前後だ。
だけどあまりにも薄い。とにかく体が薄い。
三角形の頭。ネトネトでベトベトした濡れた体が特徴的なあまりにもトカゲトカゲしていた。
「壁から張り付いていたのに、落ちてきたってことは、えっと、カベトカゲ……でいいのかな? コレが……」
「全ての元凶ってことだねー。にしても、起き上がれないみたいだよー」
カベトカゲは背中を下にして、カメのように起き上がれなくなっていた。
手脚をジタバタさせながら無理矢理にでも起き上がろうとする。
だけどこんな隙をわざわざ見逃して、倒せる機会を失うなんて全くの論外。
千世と師走の考えは同じようで、卑怯かもしれないけど、ここで倒す。
「一気に仕留めるよー!」
「う、うん」
こうでもなってくれないと、千世の攻撃は当たらない。
カベトカゲに「ごめんなさい」と平謝りしながら、剣を抜いて攻撃する。
「【加速】!」
「えっと、私は……何にもないんだよね」
師走は【加速】を使い、残った左腕&脚技の連撃でカベトカゲを叩く。
苦しそうな悲鳴を上げるが、全然倒れてくれない。
千世も手伝おうとして剣を突き付ける。
だけど自分の腕の方に衝撃が来て、あまり役に立たない。
「うっ、痛い……」
「千世は無理しなくてもいいよ。攻撃なら私が……うわぁ!」
カベトカゲは急に起き上がった。
反動を付けて起き上がるテクニックを学んだようで、カベトカゲは素早く壁を這いに戻ろうとする。
「させないって!」
師走は壁を蹴った。
振動が起きて、壁を這い上がろうとするカベトカゲを振り落とす。
「クギャァ!」
「壁から振り落として倒す! もうさっきみたいに奇襲はさせないよ!」
タネが分かったらそれまて。
カベトカゲに酷い目に遭わされた身として、許してはおけない。
師走の背中からはそんな気配が溢れ出し、左腕を振り上げた。
すると——
シュパッ!
カベトカゲは赤いものを飛ばした。
鋭い槍のようなもので、千世と師走は狙われる。
しかし師走は簡単に避けてしまうと、千世に干渉する前に掴んでぶん投げた。
「おりゃあ!」
カベトカゲは苦しそうだ。
それにしても師走のパワーで投げられるという事は、いくらシーカーアバターで強化された肉体とは言え、カベトカゲの軽さが窺える。
これはもしかするとだ。
「千世、さっきまでの赤い攻撃の正体が判明したねー」
「う、うん。まさか舌だったんだね」
カベトカゲの繰り出す突然の赤い攻撃。
その正体はカベトカゲの舌。しかも普段は柔らかい舌を硬化させて、槍のように瞬時に飛ばしてくる。あまりにも攻撃的。
千世と師走は警戒する。
「でも正体が判ったらこっちのものだよねー」
さっきまでは何が何だか分からなかった。
しかし今回は違う。
カベトカゲの武器が舌だったのなら、それを上手く避ければいい。
そう思っていると、再びカベトカゲは舌槍を突き出す。
さっきよりも少しだけ速い。そんな気がした。
シュパッ!
勢いよく突き出される舌槍。
しかし射程距離的にも何もかもで、千世達には無害だった。完全にモンスターが焦っていた。
グサリ!
当然当たるはずもなく、舌槍は標的を逃してしまう。
地面に突き刺さると、そのままスコップで掘ったみたいな警戒な音を立てた。
「ほらねー、見えてたら余裕だよー」
「直線しかして来ないの?」
【危険予知】が反応しなかった。
つまり当たらないことが最初から分かっていた。
こうなった以上、カベトカゲの最大の長所が幾つか潰れる。
この隙を逃す手は本気でないので、攻撃に転じようとした師走だが、まさかのカベトカゲは再度舌槍を突き出す。
シューッパ!
「だからー、そんなの意味ないんだよー」
カベトカゲは舌槍を飛ばす。
しかし師走はヒョイっと躱してしまうが、何故か今回はおかしな挙動を舌が見せた。
さっきまで硬化していたはずなのに、今回かなり柔らかい。
ヌルヌルと動いていて、師走の腕を掴む。
硬くするだけではなく、柔らかくもできる。
師走は面倒な敵だと思ったが、それならそれで投げちゃえばいい。
「せーのっ……うわぁ!」
「師走!?」
師走は投げ飛ばそうとした。
しかし舌がヌルッと腕から離れ、巻きつき拘束を解除。
一体何がしたかったのか? 二人には分からない。
だけど顔を前に向けた。
そこにはカベトカゲの姿が無い。
おかしいなと思って壁を見ると、何と張り付いて天井へと逃げようとしていた。
流石にこのまま逃してはあげられない。
師走は【加速】を付けて追いかける。
「逃がさないよー。な、なに!? 滑る、滑る滑るー!」
師走の脚が急に止まる。
せっかくのランニングシューズが地面に取られ、ツルンと滑りそうになった。
地面が少し濡れている。
ベトベトの体液が撒き散らされていて、カベトカゲはそれを使って師走を足止めした。
「こ、こうなったら私が……もう、いなくなってる」
カベトカゲはいつの間にか消えていた。
あまりにも素早い動き。
千世達が視覚に捉えて裸眼で追えるフェイズは終了した。
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