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【悲報】ダンジョンで撮影したら、間違って誤配信してました〜回避特化な私が、何故かバズってしまった件  作者: 水定ゆう


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第58話 暗闇の中に見えない敵

見えないだけで人は恐怖するもの。ああ、闇はなんて恐ろしいのか。

 千世は咄嗟に回避する。

 【危険予知】がなかったら、百パーセント死んでいた。


 ダラダラと冷たい朝が流れる。

 服の中はグシャグシャに蒸した汗が流れていた。

 それだけ恐怖が募り出すが、もう気はしてられない。だってここは——


「重たい。空気が重たいよぉ」

「千世、大丈夫ー?」

「う、うん。でも、私達もう逃げられないよね?」

「だろうね。ここはもう戦場(スポット)になっちゃったから」


 千世と師走は敵のど真ん中にいた。

 何処にどんなモンスターが潜んでいるのか、やっぱり暗すぎて見えない。


 それならカメラドローンの映像を介して相手すれば良いなでは? と思うかもしれない。

 でもそんな真似、モンスター相手には通用しないのだ。


 何故ならカメラドローンで撮っている映像は基本的にはラグがある。

 たった一秒でも、むしろそれに満たなくても、モンスター相手には命取り。


 例えるなら腹を空かせて獰猛になった野獣とか、縄張りを守るために侵入者を殺してしまう哺乳類のような、テレビ番組で恐怖する状況をより一層煮詰めた状態に酷似していた。


 つまりここはもう戦場。

 不用意な行動が命を落とすことに繋がる。

 いくらシーカーアバターがあるとは言え、死の味は深く刻まれるので、実質死を体感するのと同じだ。

 しかもダンジョンは、その後のことを何にも保証してくれない。


「師走、見えない敵相手だけど……」

「敵が見えないだけじゃないよ。これだと、【加速】も難しいかもねー」


 師走は栄養補助食品を齧る。

 補給食と呼ばれるもので、ボロボロとクッキー生地が床に散らばる。


「【加速】も使えないの?」

「うん。洞窟の幅? 壁とかの距離感が絶妙に変化するからねー。私の【加速】、ブレーキ無いから」


 師走の性格上、絶対に必要なものが欠けていた。

 しかもそれが能力として反映されている。

 心の奥底にある在り方が、能力に変わるのは言うまでもないが、まさかの【加速】はアクセル全開なことが響く。


「しかもモンスターが見えないのも痛恨かもねー。止まらないんじゃ、完全に捨て身になっちゃうよー」


 つまりお互いに役に立つ能力は見られない。

 困った。本当に困ってしまった。

 そんな中、考える暇も与えてくれないモンスターは、次の攻撃を開始する。もう一度知世に対してだ。


[左から直線の攻撃が来るよ!]


 【危険予知】が発動した。

 この感じ、また同じ攻撃で、今度は左からだ。

 とは言え余裕があるので避けられる。


 だけどふと考えた。千世は今、一人じゃない。

 さらに右隣には師走もいる。

 自分だけ避けたら師走が危ないと悟り、千世は咄嗟に判断する。


「師走、避けて!」

「うはっ!」


 千世は師走を押し倒す。

 突然すぎて理解が追いつかないが、如何やら攻撃は躱せたらしい。

 真横を赤い何かが通り過ぎていた。


「い、今のなに?」


 流石にはっきりとは視認できていない。

 千世は周囲をキョロキョロ視線を配る。


(今の攻撃はなに? 何処から……しかも、この音、気味が悪いよ)


 さっきはペタペタと濡れた足で床の上を歩き回るような音がしている。

 何で濡れているのか、そして洞窟内を無数に響き近付いてきているのか、遠ざかっているのかも不明だ。


「いやぁー、結構ヤバいねー」

「う、うん。見えない敵が、こんなに恐ろしいなんてね。怖いよ」

「確かにこれは怖いかもー」


 千世は師走と距離を詰める。

 お互いに背中合わせになると、ペタペタと迫る音が良く聞こえた。


「なんか来るよ!」

「う、うん。で、でも何処から……」


 ペタペタ音が壁伝に反響した。

 無数の音が共鳴し合い、耳障りに恐怖を煽り出す。


「千世、私から離れないでねー」

「うん」


 とは言えモンスターの存在は見えない。

 だけど何かは居る。

 攻撃を仕掛けてこないので、動きを把握できないでいた千世だったが、急に頭にサイレンが鳴る。


[上から来るかも]


 【危険予知】が発動した。

 だけどあまりにもアバウトな返だった。


(かもってなに!?)


 それは信じても良いのだろうか?

 師走と背中合わせになっているおかげで、どっちが攻撃の範囲に大きく入っているのは分からない。


 それでも必要に感じる。

 だから千世は師走に叫んだ。


「師走、天井!」

「天井? ……それじゃあこうしかないよねー!」


 急に師走は駆け出す。

 千世は目を丸くする一方、暗闇の中を師走は掛けた。

 それから何をするのか。そう思った瞬間だった。


「そりゃぁ!」


 師走は壁を蹴り上げる。

 微かに聞こえた接近する音。それを頼りに、可能性を信じて【加速】を発動。


 洞窟の横幅は把握できない。

 それを感覚と薄っすらと残る記憶だけを頼りに補う。まさに神業。

 師走の腕が試されると、壁を蹴り上げた先に居た敵を一気に蹴り飛ばす。

 はずだった——


 シュン!


「あれ?」


 確かに爪先が触れた。

 しかしクリンヒットとはならず、残念ながら攻撃はほぼ空振りに終わる。

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