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【悲報】ダンジョンで撮影したら、間違って誤配信してました〜回避特化な私が、何故かバズってしまった件  作者: 水定ゆう


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第51話 最初から行かせるつもり

ウィンディさん、それはキツいよ!

「えっ、この間の死亡事故ですか」

「「はい」」


 千世と師走はウィンディに情報を貰うべく、市役所にやって来た。

 しかし今回は繊細なお話なので、口のガードも堅い。


「やめておいた方がいいですよ」


 ウィンディに即答され、軽く一蹴されてしまう。

 千世は何となくそう来ると読んでいた。

 諦めてもいいなと思いつつも、隣の師走は「如何してですか!」と尋ねる。話を掘り下げようとしていた。


(ああ、本当に話が進んじゃう!)


 千世はプチパニックになりそうだ。

 しかしウィンディの口からは氷の槍が放たれる。


「そのままの意味ですよ。いくらシーカーアバターを持っているとは言え、この街でもかなり有力な探索者がその場から逃走しなければならなかった相手ですよ。まだ一ヶ月程しか経っていない探索者には到底任せることはできません」


 千世は「ですよね」と言いそうになる。

 しかしまだ師走は引き下がらない。


「だとしても、探索者ってそんなに居ないんですよね!」

「それはそうですが」

「だったら誰でもいいんじゃないんですか!」


 師走はメラメラと闘志を燃やしていた。

 完全に楽しんでいた。この攻防ですら、師走になってはディベートを無視したタイム争いになる。


「えーっと、放置には……」

「流石にできません」

「あっ、そうなんですか……」


 千世も手を挙げてウィンディに尋ねた。

 もしも放置で安全なら、近付かなければ済む話。だと思ったものの、やっぱり放置は駄目っぽい。


「一度人の血肉を食らったモンスターはタチが悪いです。故にこちらで討伐隊を組んだ方が安全だと思います」

「で、ですよね」

「むぅ。千世、ここで終わりなの?」


 千世は安堵して胸を撫で下ろす。

 師走はつまらなそうに、千世に抗議を入れた。もっと口撃しろってことらしいけど、そんなの出てこない。


「ですが人手が足りないのも事実ですね」

「そう言えば前にも話してましたよね? 私達と同年代くらいの子が少ないんじゃなくてですか?」


 そもそもの話、探索者になれる人なんてそんなに多くない。

 内気な千世が慣れた方がおかしくて、探索者は強い精神力を必要とする。つまりは“自分を持っている”必要があった。


 如何やら足せばそれが強いらしい。

 師走は考えなくても分かるけど、普通に精神力が高いから問題なし。

 とは言え一定の基準を超えていても、探索者をやろうと思う人の割合に対してでは、あまり多くはなかった。むしろ少なかった。


「それじゃあ!」

「ですがやはり、やめておいた方が良いですよ。その方が身のためです」


 ウィンディの目が強く光る。

 意味合いとして光るのではなく、本当に光っていた。

 淡い青色の光が瞳孔から飛ばされ、千世と師走はたじろぐ。


「良いですか。日が浅い探索者を無闇に行かせることはできません。それで何があるのか、二次災害に繋がるのか、それすら未知数の現状を任せることはできないんです!」


 ウィンディの言うことはもっとも。千世はズキンと理解するが、隣からの圧が強く、千世自身もへこたれない。


「そ、そうですかー。ふーん」


 色々厳しく言われたが、それでも師走は怯まない。

 自分を持ち、唇をを震わせると、強い信念を持って答える。


「私達は大丈夫ですよー! シーカーアバターとかじゃなくて、そのダンジョンに行きたい。何があったのか知りたい。時間をいち早く解決したい気持ちと、自分達の安全安心のため、私達にもできることがあるはずなんですよー。だからお願いします!」


 師走は熱く思いを語る。

 千世にも伝わってきたのだな、その奥には“楽しそう”が滲んでいる。

 それを見透かしたのか、ウィンディの表情は険しい。


「いいえ、駄目です!」


 ウィンディはキッパリ断ち切る。

 師走はグデーンとなる中、千世は肩を叩く。


「ほら、やっぱり私達には無理だよ。帰ろ」

「うーん。仕方ないのかなー」


 千世と師走は椅子から立ち上がる。

 話を聞いているだけで危険度が上昇。


「ありがとうございました、ウィンディさん」


 千世と師走は踵を返して、帰ろうとする。

 千世が師走の分まで代わりにお礼を言うと、ウィンディはポツリと呟いた。


「ですがもしも行かれるのでしたら……」

「えっ、行きませんけど?」


 千世は振り返った。

 するとカウンターの上に二つ置いてある。


 一つは紙切れ。[許可証]と書かれており、もしかして例のダンジョンの立ち入り許可証なのかもしれない。

 もう一つは箱の中に入った黒い球。

 何に使うのかはまるで分からないが、何故かウィンディの視線が千世と師走を見ていた。


「あ、あの、ウィンディさん?」

「本当は行かせたくはありません。ですが、もしもその気持ちが本当でしたら、こちらをお持ちくださいね」


 あれ? これってもしかして……千世は嫌な予感がする。

 ウィンディの目が期待していた。

 さっきまでの反応は何処はやら、完全に頼まれてしまっている。行きたくない。行きたくないのに、ウィンディは千世の手を勝手に取ると、許可証を握らせる。


「えっ、あの、ウィンディさん?」


 千世は困惑した。

 しかしウィンディは耳打ちする。


「気を付けてくださいね。何かあればこの球を放り投げてください。それからすぐに離脱です。良いですね」

「あっ、はい」


 これは完全にそう言うことだ。

 千世は愕然として肩を落とすと、急いで師走の元に戻り状況を説明。事情が大きく変わってしまい、心の悲鳴が上がった。

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