第46話 一個五十万円のリンゴ
みなさん、十七時台に投稿した方がいいですか?
「それで、先程話していただいたリンゴの話ですが」
「あっ、はい」
ウィンディは早速買取の話に転換する。
一瞬にして空気がガラリと変わるとかではないのだが、緩やかに緊張感が増す。流石に今回は食品なので、厳しい目が光る。
「それで本日はリンゴを買い取ると言うことでしょうか?」
「は、はい!」
「一応採ってきたけど、持ち帰れたのはこれくらいだよー?」
千世と師走はリュックから大きめの段ボール箱にリンゴを移し替えていた。
その結果結構大きめの段ボール箱の中には、三十個近くのリンゴが納められている。
「せーのっ!」
カウンターの上に置くと、振動が入り、重さからか鈍い音を立てる。
大体これくらいの量でいくらになるのか。
期待はしていないけど、この間の例があるのでちょっぴり怖かった。流石に大金を提示されても、高校生の自分達には困るからだ。
「なるほど。少々拝見しますね」
段ボール箱の中をじっくり観察する。
すると早速目の色を変えた。
何かマズいことでもあるのかと、千世はビビってしまう。
「なるほど。なかなか品質の良いものを選んできましたね」
「「えっ!?」」
怒られるのかと思った千世からしたら真逆の反応。
好印象を獲得したのだが、問題はここからだ。
ウィンディはリンゴを一つ手に取ると、光にかざしていた。目がキランと色を変えて光ると、リンゴを見る目付きを変える。今度こそ怒られると、怒られる前提で千世は頭を抱える。
(そうだよね。傷が無いものを選んだけど、ぶつけて中身が大変なことになってるかもだよね)
ウィンディさんに誤魔化しは通じない。
なんとなくそんな印象があるせいで怖がってしまうが、ウィンディは「凄いですね」と好感触で伝える。
「一つ手に取って見るだけで、このリンゴからはとんでもない栄養素を感じます」
「そ、そうなんですか?」
「はい。基本生物の中でもこう言った植物性に由来するものは、枝などから切り離させると魔力を放出し、栄養素に全て集約されます。しかしこのリンゴにはまだ若干の魔力が残っていますね。食べた時に一気に放出されるので、薬を服用していない方々でも安心さて食べられますが、その栄養価は通常の何倍にも膨らむはずです」
ウィンディの長回しによる説明を聞いた。
ここまで区切りなくはちょっと珍しい。
「更に言えば魔力の含み方によって、その栄養価の数値は変わります。加えて価値も変わり、これだけ上質なリンゴであれば、尚更値段もはるかと間違いないですね」
「「そ、そうなんだー」」
完全に付いていけないペースで話し出していた。
けれど千世は付いていき、内容を理解する。
とは言え問題は幾らで買い取って貰えるか。
別にお金じゃないけれど、大変だったから気になる。
「そ、それで……えーっと」
「ダンジョン産のリンゴです。買取額は二万円ですね」
「「に、二万!?」」
千世と師走はドン引きする。
まさかこんな買取額が出るとは思わなかった。
それにしても二万円。
二人で分け合って一万円ずつ。
お財布事情が潤った。
「良かったね師走」
「うん。新しいシューズ買うためにちょっと足りなかったんだよねー。でもこれで買えるよー」
「あはは、私は貯金かな」
「いっつもそれじゃんかー」
師走つまらなそうな表情を浮かべた。
しかし千世からしてみればこれは大金だ。
「それでは……」
「あっ、もう一つあります」
「もう一つ? そういえば先程の話で出ていた、金色リンゴは何処に……」
「コレです」
千世は鞄の中から金色リンゴを取り出す。
眩い光沢感と輝きを放っていた。
千世と師走は見慣れてしまったが、それでも美しいと思う。けれど見慣れていないウィンディはその輝きに目を奪われる。
「こ、これは金色のリンゴ……黄金果実の一つ」
「は、はぁ?」
「凄いんですかー?」
千世と師走は尋ねる。
するとウィンディは言葉を失い、電卓をパチパチ打つ。
「えーっと、ウィンディさん?」
「何か説明してよー」
「説明ですか。そうですね、金色リンゴは黄金果実の一つで、とんでもない魔力を誇ります。その分希少価値は高く、モンスターも欲するので見つけるだけでも困難。ましてや持ち帰るなんて貴重な経験です。生育性も未知数なため、時価で価値は変わりますが、今回の場合……このくらいでしょうか?」
電卓を見せた。
千世と師走は顔を覗き込ませると、電卓に出された数字に目を奪われて瞬きする。
「えーっと、いち、十、百、千……五十万?」
「五十万円だね。えっ!?」
千世と師走は言葉を失う。たった一個のリンゴの価値が、まさかこんな額になるとは誰も予想できない。
この間と同じだ。目を丸くして意識を失いそうになる。
「五十万円ですね。小切手を発行します」
「あっ、ちょっとウィンディさん!」
「はい、何でしょうか?」
千世は尋ねる。
如何してこんな価値が出たのか気になった。
「ど、如何してこんなに高いんですか!?」
「時価だからです」
「時価だから……」
ウィンディさんはそう説明する。
それから小切手を切ると、業務に戻る。大量のリンゴを箱に移して、どこかに持っていく。
「「あっ」」
千世と師走は困惑して、椅子に座ったまま。
目の前には小切手が置かれていた。
しかしなかなか手を伸ばすことができず、とりあえず受け取るだけ受け取って、千世と師走は忘れることにした。これだけあっても、使い道が今は無いからだ。
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