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【悲報】ダンジョンで撮影したら、間違って誤配信してました〜回避特化な私が、何故かバズってしまった件  作者: 水定ゆう


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第24話 重い×速い=パワー!

やっぱり重くて速いは強いんよ。

 千鳥はシュヴァルにそう言われた。

 言葉の羅列的にちょうど良さそうな文言をとりあえず並べただけだろうけど、気合いは十分。さっきまでの疲労を蹴り飛ばし、シュヴァルは完全とまでは行かないけれど、戦線に復帰した。


 脚をバン! と思いっきり叩いた。

 震えを飛ばして目をカッと見開く。


「シュヴァル、どれくらい走れる?」

「うーん、三分が限界かも」

「そ、そっか……」


 流石にシュヴァル一人じゃ厳しかった。

 頭を使えるなら考えろ。何もしてないと思う前に考えろ。千鳥は自分にそう言い聞かせると、自分が今使える唯一の武器【危険予知】を頼った。


 シュヴァルの脚と千鳥の回避能力。

 二つを混ぜられればきっとこの状況も段違いになる。

 物事を上手く回すには何をしたらいいのか。一人じゃ駄目でも、二人だったら。千鳥はシュヴァルをチラッと見た。


(シュヴァル、シュヴァルの武器は……走ること)


 千鳥は考えた。考えられるだけ考えて頭が弾けそうになった。

 その瞬間、シュヴァルはニヤリと微笑んだ。


「千鳥、ちょっとこっち来て」

「な、なに?」

「よいしょっと!」


 シュヴァルは千鳥を抱き抱えた。

 プルプルになりつつある膝を完全に奮い立たせると、イワガラヘビを睨み付けた。

 射程距離的に攻撃してこないおかげで、十分準備をすることができた。


「な、何してるの!」

「決まってるでしょ。抱えてるの!」

「ええっ!? そ、そんな当たり前のことじゃなくて……」


 意味が分からなかった。

 おまけに言えば恥ずかしかった。


「私を抱えても何も役に立たないよ!」

「そんなことないって。千鳥は千鳥の戦い方をすればいいの。私はそのための脚になるから」

「な、何言って……あっ!」


 何かをピンと来た。

 千鳥は自分の武器、【危険予知】を最大限発揮する術を思い付いたのだ。


「シュヴァル、もしかしてそういうこと?」

「そういうこと」

「でも、それだと攻撃は誰が……私? 無理だよ!」


 千鳥は自分に指を差した。

 瞬きを二、三回しつつ、シュヴァルがポンポンと肩を叩いた。片腕で女の子一人を支えられるシュヴァルの身体能力の高さに目を奪われつつ、励まされてしまった。

 

「大丈夫。千鳥は剣を構えてて。タイミングは千鳥に計ってもらうけど、そのための動線は私が引くからー」


 剣を構えておくだけの意味が分からない。

 だけどシュヴァルはまたいつもの走り方をすると、早速突っ走った。


「それじゃあいつも通り、最高速度でぶっちぎるよ!」


 シュヴァルは【加速】を使った。

 全身にGと熱、風圧、全てを叩きつけられると、千鳥もその餌食になった。


(あ、これヤバい……)


 千鳥はすぐに身をもって体験し、とんでもないエネルギーの押し付け合いに全身が震えた。

 きっと鍛えてなかったりダンジョンの効果がなかったら即死してた。


 それでも千鳥は言われた通り剣を構えた。

 後は何をしたらいいのか分からないけれど、とにかくやれることをやる。


「シュヴァル、イワガラヘビの額! そこに向かって!」

「了解」


 一瞬スピードが上がる寸前で言葉を挟んだ。それ以降は舌を噛みそうになるから口を開けられない。


「シュシャァ!」


 だけどイワガラヘビも威嚇をしてシュヴァルの接近を拒んだ。

 けれどシュヴァルは全く物怖じせず【加速】で突っ走った。


 そんな中、イワガラヘビは尻尾を叩きつけて物理的に排除しようとする。

 シュヴァルはドーン! と地響きが鳴ったが、直角に避けてしまった。


(す、凄い)


 千鳥はビビってしまって目を瞑った。

 シュヴァルは一切ビビることはなく、尻尾を避け、逆に叩きつけられた尻尾を利用してジャンプする。

 尻尾の上をまるで陸上のレーンのように見立てて、お得意のスプリントを見せつけた。


「このまま駆け上がる!」


 シュヴァルはイワガラヘビのゴツゴツした体の上を走り抜けた。

 邪魔に思ったイワガラヘビも身を捩って振り払おうとするも、逆にそれすら利用してしまう。


「なんのなんの!」


 シュヴァルは素早く脚を左右に動かして走り抜けた。

 ましてやイワガラヘビは口からブレスを吐き出すものの、空気でしかないので全く効かない。ここまで来たら、もうイワガラヘビに活路はない。


「来たよ、千鳥!」

「う、うん。後は私が、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 剣を前に突き出した。

 イワガラヘビの体を駆け上がり、顔面を蹴っ飛ばしたシュヴァルは額の元へと寄る。

 千鳥の構えた剣の切先が額の赤い宝石をカチン! と音を立てると、そのまま勢い任せに貫いた。


「シュシャァァァァァァァァァァァァァァァ!」


 イワガラヘビが大絶叫を上げた。

 全身を捩らせながら、バタバタと震え始めると、シュヴァルも千鳥を抱えたまま流石に振るい落とされた。


[落ちるよ!]


 頭の中に危険を知らせてくれた。

 だけどもう遅い!


「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」


 シュヴァルは頑張って受け身を取った。

 何とか地面に転がるようにして着地すると、イワガラヘビはいなくなっていた。


 振り返ってみた所、全身がボロボロと崩れていた。

 青白い粒子に変化して、赤い宝石だけをコロンと地面に残して消えた。

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