20話 尊、ハードウッドにお願いされる
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ホットケーキとカスタードクリームを楽しんだ後、俺達は”ドライフルーツ”を納品するために酒場に来ていた。いつも通りクエストカウンターに行くと、ティーさんとは別にハードウッドさんもいた。
「こんにちは、ティーさん、ハードウッド様。」
「いらっしゃいませ、クエストカウンターへようこそ。」
「これは、尊様。いつも私のクエストを依頼への納品をありがとうございます。」
俺は昨日調べていた”ドライフルーツ”のクエスト依頼を探して、ティーさんに納品をお願いする。
「すいません、”クエスト依頼 No07”のドライフルーツの納品をお願いします。」
「かしこまりました。納品数は10個でよろしいでしょうか?。」
「20個でも大丈夫ですか、スキル”料理”のLv上げで多く作ってしまったので。」
「勿論、構いませんよ。では、”ドライフルーツ”が20個納品で800Gでよろしいでしょうか。」
「はい、お願いします。」
ティーさんが奥に消えると、ハードウッドさんが話かけてきた。
「尊様。スキル”料理”のLVを上げられていると仰っていましたが、それは尊様でしょうかそれともメイプル様とミュート様の方でしょうか?。」
「私を含めた3人ですね。お恥ずかしながら、スキル”料理”で加工したほうが報酬が高いですから。」
そんな当たり障りのないことを話していると、ハードウッドさんから凄い提案をされる。
「尊様、この酒場で働いて頂けませんか。勿論、給金は弾みますので。」
「いつも働いている、おばさんはどうされたのですか?。」
詳しい話を聞いて見ると、宿屋と酒場の兼業をしていたのだが体力的には辛いのでどちらか一方にしてほしいという。それに加えてほぼ一人で営業をしていたため、料理が遅かったり注文が来るのが遅かったりと不満が依然から出ていたらしい。
「本来なら専属の従業員を雇うのが筋なのですが、慢性的な人手不足ですので募集しても人が来ないのです。
一時期は若者を雇用していた時もあったのですが、1人、2人と村から違う町へと出て行ってしまいこの有様と言うわけです。」
俺としては手伝いたいと思うが、メイプルとミュートにはやりたいことをしてほしいという気持ちもある。俺が悩んでいると、メイプルとミュートが話しかけて来た。
「尊様。差し出がましいですが、ハードウッド様を助けてあげて頂けませんか。」
「私からもお願いします。ここに来てハードウッド様やティー様には、お世話になりましたから。」
俺はハードウッドさんに、今の気持ちを伝えてみた。
「私個人的には、ハードウッド様のお力になりたいと思います。ですがこの2人の主人としては、”2人には好きな仕事を見つけてほしい”とも思っています。私に何かあったっとしても、この村でちゃんと生きていけるように。」
「そういえば尊様は市場でメイプル様とミュート様のために、全ての店に頭を下げられていたのでしたね。
市場の者に聞いたときは驚きましたよ、ですが皆言っておりましたよ”メイプル様とミュート様は信用出来る獣人である”とね。」
ハードウッドさんに指摘されて恥ずかしくて頭をかいていると、ハードウッドさんから酒場で働く条件として給金とは別にメイプルとミュートの希望する職種への斡旋もすると言ってくれた。
「少し前だったら獣人の一言で断られましたが、尊様のおかげでお2人は受け入れていて頂けるでしょう。」
「メイプル、ミュート。俺はいい条件だと思うが、お前たちはどうだ?。」
「ありがとうございます、尊様。私は断る理由がありません。」
「私もです。ありがとございます、尊様。」
俺はハードウッドさんから、雇用条件の詳しい説明を受けた。労働時間昼前から夕飯時のお客が帰るまでで、5日出勤の2日休みということだった。1日の仕事も忙しいのはお昼時と夕飯時で、それ以外は1人で常駐してくれれば問題ないらしい。
「体調が悪い時は休んで頂いて結構です。息子のビーチをヘルプに出しますから。」
笑いながら言っていたが、ビーチさんの拒否権ってないのか心配になってしまった。ここで疑問に思ったことを、ハードウッドさんに聞いて見た。
「酒場で働くことはわかったのですが、料理は何を作ればよろしいのでしょうか?。」
「ああ、メニューのことか。尊様の作れるものを、出してほしい。出来れば、”スープ”と”パン”と”肉料理”はメニューに入れて頂けるとありがたい。」
「わかりました。メニューと販売価格を決めたいので、お時間を取って頂けないでしょうか。」
「尊様、引き受けて頂きありがとうございます。では明日と明後日は酒場もクエストカウンターも締める日ですので、明日の午後からメニューの選定と販売価格を決めるというので如何でしょうか。
出来れば費用はこちらで持ちますので、材料は持って頂けるとありがたいです。」
「わかりました。では、明日の昼一にお邪魔致します。」
俺達は酒場を出ると、そのまま市場へと向かうことにする。そして向かう途中にで2人に聞いてみた。
「メイプル、ミュート。2人はなりたい職業や、憧れの人とかないのか?。」
「私は、薬師になりたいです。母様が集落一の薬師で、子供の頃から憧れでした。でも私には才能がないのか、製薬が成功したことは1度もありませんでした。」
「私はメイプルさんみたいに、なりたい職業とか憧れの人とかはまだいません。申し訳ございません尊様、わざわざハードウッド様にお願いしてくださったのに。」
メイプルは落ち込んでしまうし、ミュートは謝ってきてしまう。
「メイプル、ミュート、気にするな。
俺はメイプルが、薬師に向いていないとは思ってないぞ。出会った時にはスキル”植物知識”を持っていたし、レモン水を飲んだ時も酸っぱい以外の辛さもわかっていたのなら薬草のことを覚えよう努力したんだろ。だったら大丈夫だ薬師のLvぐらい、俺のスキルですぐMAXになるぞ。
ミュートはなりたい職業はないって言ったよな、じゃあミュートが作ってしまってもいいと思うぞ。ミュートが作ったお店にお客さんが来て、ミュートが作った物を買って、お客さんが喜んでくれるなら。それは立派な仕事だし職業になると思うぞ、そうなったらミュートが店主で俺が従業員だな。」
俺が笑いながら言うと、メイプルとミュートが黙ってしまった。ヤバい流石に適当に言い過ぎたかと思って謝ろうとすると、2人がお礼を言って来た。
「ありがとうございます。尊様だけでした、私のことをちゃんとご覧になってくださったのは。」
「尊様に出会って、私達は何度も救われました。ありがとうございます、私達の主人になってくれて。」
まさかお礼を言われるとは思わなかったので、テンパっていると市場が見えてくる。俺は強引に話題を変えるために、メイプルとミュートを連れて市場に急ぐことにした。
「尊様、今日は何を購入されるのですか?。」
「食べ物の在庫はまだあった気がしましたけど・・。砂糖やお塩などの調味料ですね。」
「ミュートの言うものも買うが、俺達の身だしなみを整える物を買うのが先だな。」
メイプルとミュートが、”お洒落は貴族達がすることで、庶民には必要ない”と言うのでお洒落と身だしなみの違いを説明する。
「メイプル、ミュート。お洒落は自分のためにすることで、身だしなみは人のためにすることだぞ。」
「尊様、どういう風に違うのでしょうか?。」
ミュートが質問してくるので、一例を出して説明してみる。
「ミュート。俺が料理をする時に、泥で汚れた手で料理をしたらどう思う。」
「うっ、嫌ですね。思い込みが入りますけど、泥を食べている気がしますから。」
「その通りだ。だから料理する前は手を洗うし、美味しい料理を食べたいと思ったら色々と手間をかけるんだ。
身だしなみだって同じだ。来てくれたお客さんに喜んでまた来たい思って貰うために、綺麗な格好で仕事するんだ。」
そう言いながら市場を歩いていると、雑貨屋さんの前に到着した。
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