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魔界転生 ~伝説の勇者が下級魔物に転生したらどうするよ?~  作者: 黒姫双葉
第一章 魔界転生?!~鬼牙族の少女、リリー~    (幼少期編)
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7

訓練は明日から。

そういってこの場を終わらせ、俺はこの村の探索へと戻った。


ローダの雰囲気を察すに、きっと彼女は明日になっても心変わりはしないだろう。

きっと、俺のところへ来るだろうな。

先ほど、帰り際に名前を聞かれて普通に答えてしまった。


リアラ家はこの村の村長。

家の場所も当然のように知られている。


……戦へと進んで参加するような娘に育てないようにしないとな。


そんな、もう育てることが前提のまま村の散策をしていると、

「……おい、まてよ」

「む?」

そんな風に後ろから声をかけられた。


「…む、お前は………ゼノ君…だったかな?」

先ほどローダを襲っていた三人組の一人。

さて。

何の用だろうか。

先ほどの戦いを見ていたのなら、報復なぞ無意味なことはわかっているだろうが。


…いや、報復にしてはそもそも雰囲気が違う。

むしろ何かを伝えようとしている…?


「さて、何の用だ?」

「…あー、その。…い、いいか!俺が言ったっていうなよ!」

「?なにをだ?」


そこまで言うと、少年は周りを確認するようにみると

「え、と。リリーだよな?お前に俺の兄貴分たちが結託して襲おうとしてる。だからはやくにげろ!」

「…さっきぶちのめされてたあいつらが?」

意外だ。

ああいうタイプは一回ぶちのめされたらあきらめるか、報復を行うにしても時間があいたり、俺がピンチな状態に陥ってからだと思っていたが。


「村中の喧嘩慣れしてるやつらを集めて、お前を襲おうとしていんだよ!だからさ、早く逃げ」

「なぜ教える?」

ゼノの言葉をさえぎって問いかける。


俺を逃がしたところでいいことなどないだろう。

むしろ、疑われることになりかねない。


「……悪い奴じゃなさそうだし………。それに、さっき、あんたが言ったこと。確かに事実だと思うからさ」


「ほう」

改心した……というか、単純に流されてた現実に嫌気がさしただけか?

まぁ、どちらにせよ、少しは俗にいういい子( ・ ・ ・)になったということだろう。


……ふむ。この展開、少し使えるかもしれんな。


「なぁ、少年よ。お前は、自分の兄貴分がボコボコにされても気にしないか?」

「は、はぁ?!何言ってんだよ、そりゃあ、少しは……気にする……ぞ?」

「なんで曖昧なんだ。男ならはっきりせんか」

「な、なんだよ……。まぁ、ほんとのところいうならさ……あいつら、結構いやなことやってたから、結構すっきりするというか、なんというか…」


こいつは流されやすいというかなんというか…。

ゼノという少年は、根は悪い奴ではなさそうだな。

単純に、染まりやすい、そんな感じだ。


……そうだな、導いてやるのも大人の仕事、か。


「よし。ならばお前をすっきりさせてやろう。……そのかわり――」



***




「おい、やめとけって!お前、女なんだぞ?弱いんだからあぶねぇって!」

「安心しろ。その代りちゃんと約束は守れよ?」

「いやだから、危険だっつうの!」


あちらから攻めてくるのがわかってるならこちらから攻めてしまえ。


そう思って、俺はゼノから悪ガキどもの屯している場所を聞き出し、懲らしめて( ・ ・ ・ ・ ・)やることにした。

…まぁ、実際にはちょっとした下心もあったりするのだが。


「さぁ、ここか」

「いや、だからよ……」

身長差があるが、背伸びしてゼノの頭をポンポンと軽くたたくと。


「俺なら問題はない。君も俺に脅されたといえばいい。そのかわり、ちゃんと約束は守ってくれよ?」

「…はぁ、わかったよ。でも、怪我したりしないでくれよ?…その、なんか、後味悪いっつうか…その、あれだ、あれ!寝覚めが悪い!」

「意味同じだな、それ」

素直じゃないやつだ、まったく。


――さて、お灸を添える、take2と行こうじゃないか。



バンっと木戸をあけ、悪ガキどもの巣へと歩いていく。

「やあ、どうも。君らの敵のリリーだ。あー、こほん。このたびは俺を襲う計画を立てていると聞き先手必勝をしに来たしだいで―」

「んだよ、てめぇ―――」

「あ、すまん。邪魔だ」


目の前に立った巨漢…といっても、大人の鬼牙族に比べればまだまだであるが…を、投げ捨てた( ・ ・ ・ ・ ・)

「ぐおっ…?!」

「すまんな、寝ていてくれ」

そしてそのまま、頭に手刀を落とす。


これでよし、と。


「とまぁ、話の途中に戻るがな。とりあえず、、君たちの仲間がいじめていたローダという少女への謝罪と、ここのゼノ君を貰い受けたくてな。素直にうなずいてくれたのなら、戦いなどしなくて済むのだが?」

俺は征王(おれ)らしく、まず対話から入ることとした。

これでうんと言ってくれれば本当に楽なのだがなー…。


「俺たちがうなずくと思ってんのか?」

「そうだそうだ!生意気な女なんてぶちのめしちまえ!」

「……否定したということでいいのだな?」


そんなうまくはいかないか…。

そりゃそうか。


一人、先ほどの男と同じくらいの背丈の男が、俺の前に立った。

そして、下卑た顔をしたまま俺へと手を伸ばしてきた。

きっと、一対一などということなのだろうが…。

「くく、おじょうちゃん?まず俺とあそぼッグゴガガ?!」

「男とやる趣味はないのでな」

先ほど一人軽く伸したのを見ていないのか、こいつらは…?


体の柔軟性を生かし、相手が俺に伸ばしてきた手に絡みつくようにして体を巻き付かせ、そのまま近づくと、相手の首を両足で絞めた。

さすがに、殺さない程度で放してやるがね。


この小さなコミュニティの中で人殺しなんぞになりたくはない。


「な?!」

「こいつ!」

さっきの男が倒されたのを見て、もう一人が殴りかかってくる……が

「脅威の図り方がまだまだ若いな。相手を見た目で判断するものではないぞ?」

腕を起点にして、相手を一回転、回してしまう。

そしてそのまま地面にたたきつける。


「ぐっ…っは!?」

そして、息が詰まったところですかさず、鳩尾に軽く踵落としを入れる。

これで二人目が沈黙、と。


「ほんとにこいつ、なんなんだよ?!」

「お?お前たちは」

先ほどローダをいじめていた少年二人ではないか。


「ひ?!――や、やれ!俺に近づかせるな!」

「……本人が戦わないのか」

人任せとはな。

……お灸を添えるなどではなく、少々矯正( ・ ・)しなければならないか?


まぁ、それでも脅威度を引き上げるのには十分だったらしく、今度は一対一などと言わず、全員で襲い掛かってきた。


「あ、おい!リリー!」

「あぁ、問題ない。見ておれ」

介入しようとしてくるゼノを制し、俺は戦闘に集中する。


………流れを見極め。

そして、誘導する。


「さて、と。”見切らせて”もらうぞ?」


あとは簡単だ。

集団の流れを少しづついじり、変えてやる。

俺に向けた攻撃が味方に行くように。

軽く、本当に軽く手を添える。


「ぐ?!」「が?!」「ぼべぶ!!」「あがのっ!」


「おま、何すんだ!」

「お前こそ!」

…元が、喧嘩が強い連中を集めただけの、寄せ集めのチームだ。

元から流れが淀んでいた上に、単純なアホばかりだったのか、誘導も恐ろしいほど楽だった……。


「なんとまぁ、脆いものだ……」

俺はこの体に慣れているわけではないし、感も取り戻せてない。

少し苦戦するかもと思っていたのだが………悪くいってしまえば、拍子抜けだな。


まぁよい、今回は戦うことが目的ではないのだ。

少年へと向かいながら、残った、俺に攻撃を仕掛けてくるやからをポイポイ投げ飛ばす。

うむ、前世では力に力をぶつけて流れを変えるやり方が得意だったが、この体では力を完全に誘導するような戦い方のほうがあっているかもな。


「さて、ではローダに謝ってもらおうか」

「な、なんで俺があいつに!」

…強情だなぁ。

面倒だ。

早く終わらせて、ローダに謝らせて、村の探索に戻りたいのだが。

ん?そういえばもう一人はどこ行った?。

…まぁいいか。何かしようとすればすぐにわかる。



む?誰かが歩いてくる気配。

この気配は、ゼノか。

「…兄貴。素直にあきらめたほうがいいと思いますけどね」

俺の後ろからゼノが少年に向かっていった。

よく見ると、彼の後ろには、ローダをいじめていたもう一人の少年が倒れているのが見える。

……ゼノにやられてたのか。

そりゃ、流れも何もないわけだ。


「ゼ、ゼノ!こいつをどうにかしてくれ!」

「……これが、君の兄貴分だが?感想はどうだ」

「………なんというか、つまんない」

「はは、つまらない、か。ま、そうだな。俺がもし兵士だったとしても、こういうものの下には就きたくないな」


そう考えれば、ゼノの答えも納得できる。

……さて、仕事は終わりか。


「少年、明日の夕方……そうだな、三時ころに俺の家まで来てくれ。……来なかったら、どうなるかはわかっているな?」

ぶんぶんと頭を振る少年。

すこし脅しが過ぎたかもしれないが、これだけ言っておけば逃げることもないだろう。


「それとゼノ、君は一時ころに俺の家に来てくれ」

……あとはローダにも伝えて。

あぁ、太陽を見るに、ローダに伝えれば今日はもう終わりになりそうだな。

結局少ししか村を見ることができなかった。


まぁ、明日もある。

少しづつ、この世界を、真実の姿、というものを見ていければ。

今はそれで……いやそれがいいのだから。




「では、ゼノはもらっていく。ま、強くなりたくて俺に戦いを挑むのならいくらでも歓迎だが、卑劣なことをするのなら次も容赦はしないぞ」

俺は、そういってこの場所を後にした。



「……戦って勝ったら、俺はお前の舎弟になる……とか意味わかんねぇんだけど?」

「ははは、いいではないか。別にあの不良チームにいたいというわけでもないのだろう?」

「そうだけどさ……」


俺がこいつの古巣を勝手に壊滅させた見返りは、こいつが舎弟につくこと。

ま、ローダといろいろとやってもらいたいことがあったから、無理やり仲間になってもらったのだ。

先生と生徒一対一では教えてやれないこともある。

ともに切磋琢磨する相手がいなくては、な。


「では、明日の一時に来るように!今日はここで解散だ」

「うーい。じゃあな、リリー」

「うむ」


そういって、ゼノと別れた。

そういえば、俺は完全にゼノを呼び捨てにしているが、実際のところゼノは何歳なのだろう。

俺は三歳だ。


……いや、もちろん肉体年齢の話だが。

精神年齢はそこまで幼くはないはずだ。

………たぶん。


「それも明日にでも聞いておいたほうがいいかもしれんな」

さて、このあとはローダに明日一時に家に来るように伝言をして。

もう日が暮れるし、今日はここまでか。



「さて、また明日も頑張るとするかの……」

ローダに伝言をしてから、俺は家路についた。

名前のない少年君たちは、三下臭がするようなキャラ構成になるようにしたのですが……。

うまく三下してましたでしょうか?

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