依頼受注
私はタナトス。Sランクパーティーに最近入った冒険者。その正体は魔族のドッペルゲンガー!だがまだ誰にもバレていない。今は大好きな『タナトス』というキャラクターのロールプレイ中。
今日は宿と公衆浴場のパスポートを確保して、美味しい海の幸を楽しんだ後冒険者ギルドで依頼の受注に来た。
「どの依頼を受けましょうか」
「このAランクの依頼にしましょう」
「今出てる依頼の中で一番高難易度の依頼だけど…」
「Sランクパーティーにとっては朝飯前だな」
「タナトスちゃんもいるしね」
「あはは、頑張ります」
人間に悪さをするオークの群れを殲滅する、という依頼。この群れにはオークキングというレアモンスターもいるらしい。
ギルドで受注することを伝えてから現場に行く。
だが場所は幸い森の中。
対魔剣タナトスの能力で一撃で終わった。
「タナトス、私と同じ名を冠する剣よ。その力を今示せ。対魔剣、抜刀。タナトス!!!」
「相変わらずデタラメな能力だな」
「さて、あとは削れた森を元に戻さないとね」
「オークの群れの死体も回収して行かないとな」
「私のアイテムボックスに入れて回収しましょう。でも森を元に戻すって?」
アイテムボックスにオークの死体を仕舞いつつ聞く。
するとメルセデスさんがなにやら魔法を使いながら答えてくれた。
「森の生態系が壊れないように、僕の魔法で緑を生やすんだよ」
言うが早いか、森の木々が再生した。
「メルセデスさん、すごい!」
「ありがとう」
「私のバフの効果もあるのよ」
「リリーさんもすごい!さすが僧侶!」
「それほどでもあるわ!もう、タナトスちゃん可愛い!」
リリーさんにぎゅうぎゅう抱きしめられる。
苦しいけど、人の温もりが伝わってきてなんだか嬉しい。
「俺は飾りか…」
「そ、そんなことないです!」
「ははは、冗談だ。さあ、依頼料を受け取りに行こう」
「「「はーい」」」
そうしてギルドで依頼料を受け取ってほくほくしているところ、依頼料の分配の話になった。
「タナトスが六割、メルセデスとリリーが二割だな」
「いやいや、クラウドさんも受け取ってくださいよ」
「そうよリーダー、いくらお金が余ってるからって貰えるものは貰いなさいな」
「僕も二人に賛成」
「というか普通に全員二.五割で良くないですか」
話し合いは長くなったが、結局私の案の全員二.五割で落ち着いた。
これからもクエストを受けたら必ずそうする約束にして、その代わり私ばっかり活動した時にはクラウドさんにご飯を奢ってもらう約束になった。
「ねえねえタナトスちゃん、今日は甘いものを食べましょうか」
「甘いの?食べたいです!」
「なら俺のおすすめの甘味処にしよう」
「楽しみ!」
「ふふ、女の子は甘いものが好きだね」
甘味処に入る。客は他には居ない時間帯らしい。静かな甘味処は雰囲気もいいな。
「いらっしゃい」
「お茶を四杯。それと、ショートケーキを四人分」
「はいよ」
ショートケーキがおすすめらしく、店に入って早々にクラウドさんが注文を済ませる。
その後ああでもないこうでもないと他愛ない話をする。
話しているうちに紅茶とショートケーキの準備が出来たようで、一緒に運ばれてくる。
「美味しそう…!」
「いただきます」
「いただきます、あー、美味しい!」
「いただきます…美味しいー!甘くて美味しい!」
「いただきます。うん、相変わらず美味いな。タナトス、ここのは美味しいだろう?」
「すごく美味しいです!」
「よかったな」
クラウド様にまた頭を撫でられる。
頭撫でるの好きなのかな。
ショートケーキに使われているフルーツも、価格が高い分ふんだん。紅茶に良く合う味わい。甘いのと紅茶を交互に楽しむのが最高。
「すごく美味しかったですー!クラウドさん、ご馳走様です!」
「はは、喜んで貰えてなにより」
「ふう。美味しかったわ」
「またみんなで来たいな」
「ええ、そうしましょう」
和やかな雰囲気だ。
ルーヴルナに入ったのは正解だったな。
「ふふ、毎度ありがとうございました。またお越しください。ルーヴルナの皆さんならいつでも歓迎です」
「うん、きっと来る」
「美味しかったです!ありがとうございました!」
今日も良い日になったなぁ。




