次の街
次の街は近かったので比較的野宿生活は短く済んだ。
今日は港町まで来ている。
港町に来たら、何故かめちゃくちゃ歓迎された。
「ルーヴルナの皆様が来てくれたぞー!」
「皆さん、ゆっくりしていってくださいね」
「ぜひウチの宿を使ってください!」
「うちの食堂にも食べていっておくれよ!」
「みんなありがとう。お言葉に甘えさせてもらう」
なんだかルーヴルナのみんな、特にクラウドさんはこの港町の人気者らしい。
「あら、ルーヴルナの新人さん?無理はしちゃダメよ。先輩方の言うことをちゃんと聞きなさいね」
「いや、タナトスは…」
「はい!頑張ります!」
「………タナトスは謙虚だな」
新人にも好意的。
やはり信用されているらしい。
宿を取り、公衆浴場のパスポートを得てからクラウドさんの話を聞く。
「前にな、この港町に滞在中丁度超大型のクラーケン討伐の依頼があったため、いつも通り三人で受けて討伐した。動きを封じ込めるのに手間取ったが、俺が弱らせてリリーの魔法で拘束してしまえば宙に浮かせて、メルセデスの雷の超大型魔法で一撃だった。何故か弱らせただけの俺の方がメルセデスとリリーより慕われているのが不思議だが」
「なるほど、それでルーヴルナは人気なんですね」
「まあ、な。ちょっと照れるが」
「ふふ、そうですか」
さて、今日も今日とて美味しいものを食べたいところ。せっかく港町まで来たなら、やはり海の幸。と思ったら、クラウドさんのおすすめのお食事処にルーヴルナのみんなに誘われたので行ってみる。
「いらっしゃいませー!」
「あらー、ルーヴルナの皆様!新人ちゃんと一緒に来てくれたのね」
「はい、美味しそうな匂いがしますね!楽しみです!」
「あら、新人ちゃんは可愛いわね」
どっちかというとタナトスのロールプレイ中なのでカッコいいの方が嬉しいのだけど。
「タナトス、何が食べたい?今日は俺が奢ろう」
「え、でも私も払います」
「いいからいいから。リーダーの顔は立てなさいな」
「あ、果実水四人分お願いします」
「はい、どうぞー」
色々話し合ったけど、結局は奢ってもらえることになった。
「タナトスちゃん、何が食べたい?」
リリーさんが私にメニュー表を渡す。
「何がいいですかね?」
「せっかくなら海の幸を堪能して欲しいわね」
「海の幸?港町ですものね」
「うん、おすすめ」
「俺も海の幸がおすすめだな。例えばお刺身定食とか」
「ではそうしますね!」
注文が決まったため店員のおばあちゃん達に声をかける。
「お刺身定食四人前お願い」
「お刺身定食四人前入りましたー!」
「新人ちゃん、よかったわね。今日は特にマグロが美味しいのよ」
「マグロですか」
「ええ、とても美味しいお魚なのよ」
店員さんにとっても自信の品なんだろう。
まあマグロは美味しいよね。
「そんなに美味しいなら楽しみにしてますね」
「ええ、ええ。すぐに出来るから待っててね、新人ちゃん」
良い雰囲気の店だなとしみじみ思う。ここにして正解ね。
「はい、お刺身定食四人前ー」
「ありがとうございます、いただきます!」
「ありがとうございます、いただきます」
「い、いただきます」
「いただきます!」
「はいはい召し上がれー」
厚みがあるお刺身をわさび醤油につけて食べる。んー、美味しい!
「んー、これ美味しい!」
「良いマグロね。美味しいわ」
「そうだろう、そうだろう」
「よかったな、タナトス」
美味しい美味しいとがっつく私に、クラウドさんが頭を撫でてくれる。
なんとなく、嬉しい。
「スープも美味しいわよ」
「へぇ…では早速……本当に美味しい!」
「味噌スープと言うんだ。味噌という調味料を使っている。わかめと豆腐のシンプルな具がいいな」
前世の記憶で知ってますー、とは言えない。
「ともかく、ここのご飯はすごく美味しいですね!」
「そうだな。これからも美味しいお店をたくさん紹介しよう」
「わーい!」
ということでまたご飯に連れていってもらえることになった。
そんなこんなで店を出る頃には四人とも大満足。
「ありがとう、御馳走さま」
「ありがとう」
「ありがとう」
「本当にありがとう」
「はい、またいつでも寄ってねー。ルーヴルナの皆さんならいつでも大歓迎だよ、本当に。まいどありー」
「タナトス、よかったか?」
「はい!」
今日も今日とてお腹いっぱい幸せになった私でした。
そして何故かクラウドさんはまた私の頭を撫でる。
ちょっとだけ、キュンとしてしまったのは内緒だ。




