救出作戦の依頼
「えっと、騎士様、それはどういう…」
「申し遅れました。改めて名乗りましょう。私は姫騎士、タナトス。Sランク冒険者パーティー、ルーヴルナの一員です」
くぅ!
タナトスっぽい自己紹介!
ロールプレイキマッてるぅ!!!
「え、姫騎士…え、騎士様女の子なんですか!?」
「ふふ、それは些細なことです。そしてこちらがSランク冒険者パーティーのリーダー、クラウド。こちらが魔法使いのメルセデス。こちらは僧侶のリリー。お嬢様をお助け出来て、皆喜んでいます」
「メルセデス、よろしく」
「リリーと申します、お嬢様」
「…クラウドと申します。以後お見知りおきを」
ご令嬢は目をぱちぱちさせた後、自己紹介をしてくれた。
「あ、も、申し遅れました!ターフェルルンデ家が長女、モニカと申します!あの、あの、皆様はSランク冒険者なのですか?」
「ええ、その通りです」
「では…では!正式に依頼します!お父様とお母様と、我が家の全財産を助けて!」
泣いていたと思えば、途端にしっかりした。
うん、全財産も大切だね。
守らなきゃね。
混乱していたとはいえ、家族のためとはいえ…全財産を本当に馬車に積んで持って行こうとしたのはいただけないが、正気に戻ったのはよかった。
「もちろんお受けします、モニカお嬢様。兵士の皆様、詳しいお話をお聞かせ願えますか。モニカお嬢様も」
「は、はい!」
見たところまだ小学六年生程度のご令嬢にストレスを掛けてしまうのは申し訳ないが、救出作戦なら情報戦が命。
モニカお嬢様が知っていること、私兵が知っていること。
全て教えてもらおうか。
「なるほど。モニカお嬢様のご両親がおさめるのが元々目的地だったこの街で、モニカお嬢様のご両親をよく思ってなかったのが隣街の領主。マフィアと結託してモニカお嬢様のご両親を攫い、全財産を要求。もちろんその中にはターフェルルンデ領の管理権も含むと」
「相手は貴族と結託しているので迂闊に手は出せなかった」
「かといって冒険者ギルドに要請しても色良い返事はもらえなかった」
「なので仕方なく全財産を渡すべく隣街に向かっていたと」
「はい…」
なるほどねぇ。
「隣街の地図をいただけないでしょうか」
「は、はい」
隣街の地図がリリーさんに渡される。
「神よ、道を示したまえ」
リリーさんが胸元から取り出して、地図の上にかざしたロザリオが反応する。
「やはり、領主城の地下に監禁されてるわね」
「厄介だな。下手を打つと冒険者ギルドとも事を構えることになる」
「じゃあやめる?」
「わけないだろ」
「でしょ。厄介だろうがやるんだよ」
メルセデスさんが珍しく強気だ。
そしてクラウドさんが珍しく弱気だ。
それだけ冒険者ギルドとの仲は冒険者パーティーにとって大切なんだろう。
ならば。
「じゃあ、私一旦ルーヴルナを抜けます」
「え、タナトスちゃん?」
「ど、どうした急に!?」
「タナトス、なにかいやだった?」
「いえ、〝一旦〟ですよ、一旦」
はてなマークを浮かべる全員に笑って言った。
「タナトス個人として、単体で領主城を襲って来ます」
「「「却下」」」
「え、結構良い案だと…」
「「「却下」」」
「えー…」




