海水浴場
今日は冒険者ギルドの依頼リストに特に誰かが本気で困ってそうな依頼もなかったので、この街を出発する前にゆっくりしようということになり休みになった。
「でも、休みと言ってもすることがないんですよね」
「なら、海水浴場に行かない?タナトスちゃん」
「海水浴場?」
リリーさんに誘われて面食らう。
前世では貧乏過ぎて水着も買えず縁がほぼなかった。
天涯孤独の身の上だったし。
しかし今世では今の私はお金持ち。
アリ…か?
「ここは港町で海があるだろう?だから海水浴場も解放されてるんだ。今は夏だしな」
そう、この国では今は夏だ。
転生前は日本では冬真っ只中だったけど…まあ、異世界だし。
「よかったら水着、リリーと選んで来なよ」
んー、んー…迷う、迷うけど…。
「あの、リリーさん。水着と浮き輪選んでくれますか?」
「もっちろんいいわよー!さあ、行きましょうタナトスちゃん!男二人は準備して待ってなさい!」
「おう」
「うん」
ということで水着選びにゴー。
「リリーさん、なるべく目立たないやつで…」
「えー、でもこれとかこれとか可愛くない?」
「ワンピースタイプ…これ可愛い…」
「でしょう?ビキニタイプよりは目立たないし、可愛いし、フリルワンピースタイプおすすめ!」
「おすすめ…そっかぁ…」
値段を見ても買えない値段じゃない。
浮き輪も合わせてもそんなに高くないし、可愛いし。
タナトスのロールプレイ中とはいえ、身体は女の子。
少しくらい…いいかな?
「…買います」
「まいどありー、着替えてきていきますか?」
「はい」
「じゃあこちらでどうぞ!」
「タナトスちゃん可愛いー!」
白いフリルワンピースの水着。
タナトス女バージョンになった美少女の今世の私には似合いまくる。
リリーさんは私と同じフリルワンピースの色違いで水色のにしたらしい。
私は少し胸に膨らみがあるが大体ほっそり体型。
リリーさんは出るとこは出ててバインバインなのにお腹周りはほっそりだ。
格差を感じるが、とりあえずお互い似合ってるとは思う。
「リリーさんもお似合いですよ」
「やだ、嬉しい。さあ、行きましょう?」
リリーさんの手を取って、浮き輪を持って海水浴場へ向かった。
「はい合流ー」
「リリー、タナトスも早かった…な…」
「わ…」
「二人とも見惚れてないで褒めなさいよね!」
海水浴場では先に来ていたクラウドさんとメルセデスさんがビーチパラソルを立ててブルーシートを引いて待っててくれた。
しかし二人はぽかんとこちらを見ていて、リリーさんの言葉にハッとする。
「タナトス、その、に、似合ってる。可愛いぞ」
ポンポンと頭を撫でてくれるクラウドさんは、しかし顔が真っ赤だ。
…なんか、可愛い。
「リリー、すごく、可愛い。似合ってるよ」
メルセデスさんは前髪でお顔を隠してるけど耳まで真っ赤なので気持ちが伝わってくる。
ははぁーん?
あの二人そういう感じ?
「そ、そう?あ、あの、メルセデスも…いいんじゃない?結構、その格好、その…うん、いい」
「そ、そうかな、ふふ」
まだ顔が赤いクラウドさんに、背伸びしてそっと耳打ち。
「あの二人、そういう感じですか(小声)」
「昔からずっとああだ。あれでお互い無自覚だぞ(小声)」
「まじかぁ…(小声)」
まだもじもじしつつイチャイチャしてる二人に声をかける。
「とりあえず、泳ぎます?」
「そ、そうね!そうしましょう!」
「クラウド、行こう」
「おう」
その後は海水浴場で泳いだり、水かけ合戦したり、ビーチバレーしたり、遊び尽くした。
「いやー、遊んだわね」
「今日はいつもよりぐっすり寝られそうです」
「楽しかったか?タナトス」
「はい、とっても!」
「よかった」
またクラウドさんに頭を撫でられる。
これ、好きだなぁ。
「ねえ、メルセデス。あの二人そういう感じ?(小声)」
「さあ?でもクラウドはなんとなくタナトスを気に掛けてるみたいだけど(小声)」
「あとはタナトス次第ってこと?(小声)」
「わからない、まだそこまで大きな感情じゃないかも(小声)」
「でも結構良い雰囲気じゃない?(小声)」
その後公衆浴場で汗を流して、宿でベッドにダイブ。
ぐっすり眠れた。
翌朝はなんだか体調がいつもよりよかった。
多分熟睡したおかげだ。
さあ、今日からまた次の街へ向かうぞ。




