異世界でも案外食べ物は変わらないらしい
タナトスこと私は、昼も夜も所属しているパーティー『ルーヴルナ』のリーダーであるクラウドさんに奢ってもらえてお腹いっぱい美味しい幸せな食事にありつけた。
そして公衆浴場でリリーさんと体を洗いっこして、湯船で一日の疲れを癒した。
宿に戻るとベッドへダイブ。
そのまま寝た。
「んー、よく寝た」
夜早くに寝たから、朝も早く起きた。
この世界には娯楽が少ないから夜更かしする理由がないのだ。
朝の支度をして、朝食は適当に港町の出店で済ませる。
そしてルーヴルナの皆さんと合流して、冒険者ギルドに高ランクの依頼がないか見に行く。
もちろん人助けのためだ。
危険な依頼ほどランクが高い。
みんなランクの高い依頼は避ける。
だから私たちがそれを受けるのは、人助けになる。
大好きなタナトスのロールプレイにはピッタリ!
「人喰いムーンドロップベアーの親子の討伐の依頼…」
「今のAランク任務は今のところこれだけか」
「ちょっと可哀想だけど、人を一度でも食べたならそんなことも言ってられないわ。可哀想だけど小熊も討伐しましょう」
「大丈夫?タナトス」
「は、はい。覚悟の上です」
タナトスのロールプレイのために、いざクマ退治!
ということで今日は人喰いムーンドロップベアーの親子の討伐の依頼があった。
正直子熊までというのは気が引けるけれど、人の味を覚えた子は放置出来ない。
せめて楽にと、ちょっと危険もあるけどリリーさんのバフを受けたメルセデスさんの睡眠魔法で眠らせてから、私が親熊を、クラウドさんが小熊を剣で心臓を一撃に。どうかこの親子が来世では幸せになれますようにと祈りを捧げてから死体をアイテムボックスで回収。
ギルドに提出して報酬を貰い、みんなで山分けに。
その後クラウドさんがお昼を奢ってくれると言い出した。
「今回のMVPはメルセデスさんですし、奢って貰わなくても…」
「そんな寂しいことを言うな。俺もお金は余ってるし、可愛い後輩を大事にしたい」
「クラウドさん…はい、お願いします」
「任せておけ!」
ということで四人で美味しい食べ物屋さんを目指す。ふと「てんぷら」の看板を見つけ、クラウドさんのおすすめもありそこに入る。
「いらっしゃい」
「果実水四人分、あと玉ねぎとレンコンと、それからきすとえび、かぼちゃとライスを四人分」
「はいよ」
メニューは全てクラウドさんのおすすめ。
まあクラウドさんの奢りだし、美味しそうだしいいか。
「はい、お待ち」
「美味しそう!いただきます!」
「いただきます」
「いただきます」
「いただきます!…んー甘くて美味しい!」
「それは玉ねぎを揚げたものだな」
ポンポンと美味しさに感動する私の頭をクラウドさんが撫でる。
そして私の反応を「天ぷら」を知らないと解釈したらしく解説してくれる。
「シャキッとしてるのが美味しい!」
「レンコンね。歯ごたえがいいわね」
「これも甘くて美味しい!」
「それはかぼちゃ。本当に美味しいね」
「このお魚もとっても優しい味!」
「きすだな。さくっとして美味しいな」
みんな微笑ましそうに私を見る。
でも仕方ないじゃん。
美味しくて感動しちゃうし、勘違いされて今更勘違いとは言えないし。
「海老天も美味しい!」
「お、海老はさすがにわかるか。やるな、タナトス」
またクラウドさんに頭を撫でられる。
こうしててんぷらをライスと共に堪能し、店を出る。
「御馳走さまでしたー!」
「ありがとう、今日も美味しかった」
「また来るからね」
「また今度」
「はい、まいど。ルーヴルナの皆さんに来てもらえるのは光栄ですからな」
ところで、どうしてクラウドさんは私の頭を撫でるのが好きなんだろう?
まあいいか。
妹みたいに思ってくれてるとかその辺だろう。




