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龍の生まれる国  作者: るるる
第一部 王城の龍 謁見の間
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謁見の間-003 ララルーアの土地を遣わそう

サテンは無言で立ち尽くし、王のすべてを見つめていた。


そこに、カエランラが、青年を連れてもどる。王は、青年を見ずに先を続けた。

「もしも、両方が龍であれば、土地は二つ入用じゃ。龍の住まいを、いま一つ用意いたそう。だれぞ、土地を寄進する者はおらぬか」

王の言葉に誰もが押し黙り視線を落とした。

「ならば、ララルーアの土地を遣わそう。つい最近、使わした土地があったかと思うたのだが、何であったか?」

「ペルシール地方でございます」

と隣に立つ男が素早く答えた。王は深くうなずいて、

「ペルシール地方をお前に使わす。そこから連れてこられたと言う噂じゃ。確か、ペルシール地方のチェシェ村だとかの。住みなれた場所がよかろう。龍の話の多い土地じゃ。龍も文句の言いようがあるまいの」

と言って王は笑い、貴族も笑った。貴族は、自分達の土地が無事だったと思い笑いを合わせ、ついでに、ララルーアが土地を取り上げられたのだと思うと、ほくそ笑む意味で笑った。しかし、王にとっては、サテンに対して、調べつくしているのだぞ、と言って聞かせる一言だった。サテンが顔色を変えるだろうか、と王は見ていたようだった。しかし、サテンの表情は変わらなかった。変わりにララルーアの表情が激変した。開いた扇子でかろうじて隠したのだが、目には怒りが、頬には憤怒の赤みが上がり、王を射殺しそうな眼で睨む。


サテンを龍だと証明できなければ、我身が危うい。極刑を言い渡すほどの罪だと言った王は、そのサテンを連れてきた自分を許したりはしないのではないか、と怯えたのだ。だからこそ、カエランラの判断をはずしたかった。しかし、逆に、サテンを龍だと証明できたら、今度は自分の土地がなくなる。自分のひも付きの男だから、自分は満足するだろう、と王が思っているとしたら大間違いだわ、とララルーアは怒りに肩を震わしながら歯噛みする。片田舎から連れてきたこんな男に、王は龍だと言う言葉だけで土地を渡して、自分には、これほどの努力をしていると言うのに、何一つ渡そうとはしない。それどころか、こうやって簡単に取り上げようと画策しだす。ララルーアは、王を睨む目を止められなかった。


王は素知らぬ顔で視線を受け止め、そばに立つ男に話しかける。無駄話をしているようだった。話し掛けられた男は、王の言葉ですと言って声を上げることはなかった。


龍に与えるプッシュナートと呼ばれる土地は、荒れ地だった。中央を流れる巨大な川に、両岸には岩だらけの大地しか無い。人も住まない土地だった。バイローンは、そんな土地だが、もらえるかもしれないと喜んで、もらえるものなら取ってやる、と思った瞬間、サテンがさらに豊かな土地をもらえることになる、と聞かされた。しかも、龍の棲むと言うペルシール地方を丸ごと。バイローンは、感謝の会釈で頭を下げたまま、顔を上げられずに押し黙っていた。何も言わずに、床を睨んで。考えこむような顔は、ひどく醜いものだった。


王の椅子の後ろから、カエランラ家の当主が現れ、男の前には二人の青年が並んでいた。


一人はやせ細った神経質そうな面差の第五皇子、ハイレルート・アヤノ・オオノ皇子だった。今一人はまっすぐな目で周囲を見回す背の高い青年で、第一皇子の、レアノ・ホーン・ミカゲ皇子だった。第一皇子は、見た目が武骨だった。明るい栗色の髪に緑かかった灰色の目の青年で、面長で、頬骨が高く大きな口をしている。笑うと愛嬌のある温かみのある顔になるが、目には理知的な光がともる。武骨な印象よりも奥深い眼差しをしていた。翻って第五皇子は中性的な整った面立ちで、小さな顔や長い手足の美しい立ち姿だった。しかし、おどおどと動く目と神経質そうに顎を指でこする姿が見る者の不安をあおる。


対象的な二人だった。

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