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「あばばばばやばい、これは相当やべーですわ!!」
わたくしは自身のきみどり色の髪を見つめながら恐怖におののいていた。
これは、ここは、あれですわ。
前世で遊んだ乙女ゲームの世界。
いわゆる『乙女ゲームに転生しちゃった☆』というヤツじゃありませんの!!
しかも、このきみどり色の髪は悪役令嬢マリアンヌ!!
北のガゼボで倒れてから3日間眠り続けていたわたくしは、目が覚めたら前世を思い出していた。
前世の私は普通の二十代前半の成人女性。
名前や生い立ち、何で死んだのか等はたいして面白みもないので割愛。
ごくごく平均的な普通の女子であった。
まぁ、一つだけ上げるとするならば自他共に認める面食いだった、ということくらいか。
『乙女ゲームの世界に転生しちゃった☆』系のウェブ小説にどハマりして読み漁り、いっちょその乙女ゲームとやらが一体どんなモノなのか実際にやってみようでないか!と初めて購入したソフト。
それは
『ピンクのミリヨンは今日も誰かを魅了する~赤、青、黄色。あなたが選ぶのは何色のイケメン?』
という長ったらしいタイトルだった。
ふむふむ、何名かいる攻略対象の中から好きなキャラを選んでそのキャラと恋人同士になればゲームクリアね。
とりあえずやってみよう。
数名のイケメン男子の中から、とびきりイケメンの王子様、モラーハルトを選んだ。
『‥‥‥‥‥‥‥』
ゴーンゴーンゴーンという鐘の音。
舞い散る色とりどりの紙吹雪と、ゲームクリア♪の可愛らしい文字。
‥‥あれ?終わり?え?攻略成功?
やり始めてまだたったの30分ですけど?
何だよこのゲーム、簡単すぎるでしょ!
大体、攻略の方法が魅了魔法で落とすって、ずるじゃん、ずる!
タイトルそのまんまってひねりもなんもないし!
しかもヒーローの王子様がチョロいのなんの。
ヒロインが目を合わせてパチパチって瞬きした瞬間、秒で落ちる。
キュンキュンするような恋の駆け引きも全くない。
あるのはマリアンヌというザコな悪役令嬢が嫌味を言ってきたり、軽く突き飛ばされたり、ドレスにワインを掛けられるくらい(しかも目立たない白ワイン)。
全く大したことの無いザコな嫌がらせにぐずぐず泣いて王子様に相談するヒロイン。
そしてお決まりの
『でもっ、でも、きっと私が悪いんです!』
お目々うるうるで王子様を上目遣いで見つめてパチパチってまた魅了魔法かよ!
‥‥ツマンネ。
いいのは神絵師が作画を手がけたというスチルと、幾ら金積んだんだよっていう豪華な声優陣のイケボだけ。
このゲームの制作陣は作画と声だけに全振りしたんだろうな。
ああ、綺麗なイケメンのパッケージに騙された!!
結構いい値段したけどもうイラネ。
買ってからたったの30分でゴミ箱行きとなったクソゲー。
それがわたくしが転生したこの世界!
しかもザコな悪役令嬢!!
そういえば悪役令嬢マリアンヌって、最後どうなったんだっけかしら??
「あばばばば‥‥‥‥」
わたくしはマリアンヌのラストを思い出して震えた。
『マリアンヌ・ガセット!僕の真実の愛の相手、ミリヨンを虐めた罪で貴様を斬首刑とする!』
何で?何でよ!
何であんなショボい嫌がらせをしたくらいでギロチンで首チョンパされなきゃなんねーんだですわ!!
わたくしとんでもなく恐ろしい世界に転生してしまってるではありませんの!!
と、とにかくわたくしが助かるルートは無かったかしら!?
って、モラーハルト王子のルートを1回やっただけでゴミ箱に投げ捨てたゲーム。
いくら考えても解る訳がねーんですわ!!
「あばばばばやばい、これは相当やべーですわ!!」
と、いまここなんですわ!
「と、とにかく将来首チョンパされないように立ち回るしかありませんわね。取り敢えずわたくしの美貌でモラーハルト殿下を骨抜きにしてしまいましょう!わたくしほどの美貌があればヒロインの魅了魔法など屁でもありませんことよ!!」
鏡の前に立ってシナを作る。
右手を腰に当ててクネッ。
あらまぁ、わたくしってば今日もなんて美しいのかしら‥‥‥って‥‥‥
「!!??!!っっ‥‥‥ぎえェェェエエァァエエええあ!!!ばば化け物っ!!カエルの化け物おぉあぁぁぁ!!!」
鏡に写った自分の姿に泡を吹いて倒れたわたくしは、それからまた3日間眠り続ける事となったのですわ。




