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第80話 じいちゃんの提案

太鼓台を見に行ってからの数日は特に予定もなく、朝からじいちゃんとラジオ体操に出かけ、図書館に行き、ばあちゃんのご飯を食べる。


「健太、最近は出かけんのか?」とじいちゃんに聞かれ、

「週末の花火は行こうと思ってるけど」と答える。

「そうか・・・・・、ちょっとこれ見てみ」と新聞を渡される。

「何?」とどこを見ればいいのか記事を探していると、

「これじゃ」と読者の投稿写真を指さす。


それは、海辺の夕焼けを背景に撮った写真だった。


「え?何これ?空が海に写ってる」


「綺麗やろ。最近の若い者に人気の場所らしいわ。『秩父が浜』言うて干潮の時に沖の方まで行ったらこういう写真が撮れるんやと。この時期は日暮れも遅いが干潮時間も遅くなっとる。彼女と行って来たらどうや」とじいちゃん。


「彼女って・・・。そんなんじゃないよ」と苦笑いで言う。

「何や、付き合っとらんのか。祭りに行っとるのに」とやや呆れたように言うじいちゃん。

「だって、会ったばかりだし・・・」と返すと、

「煮え切らん奴やのぉ。まだ付き合っとらんでも出かけたらええやないか。なぁ、ばあさん」となぜかばあちゃんにまで話をふる。


突然声をかけられ、台所にいたばあちゃんは『何のことやら』で俺たちを見る。

「何でもないよ、ばあちゃん」と声をかけ、じいちゃんに新聞をもらって部屋に行く。


敷きっぱなしの布団に転がりもう一度新聞を見る。

夕焼けに染まりつつある空が『これが海?』と思うくらい波が無い水面に写り、幻想的な風景の中にたたずんでいる人が写っている写真。


(こんな場所があるなんて知らなかったな。ちょっと見てみたいかも。美琴さんも行くかな・・・・)


新聞を置いてスマホを取る。太鼓台を見に行った翌日に一緒に行けて楽しかったというメッセージは入れていた。


「この間の太鼓台は楽しかったですね。今日じいちゃんに新聞を見せてもらったら、秩父が浜っていう景色が綺麗な所が載ってました。美琴さんは行ったことありますか?」とメッセージを送る。


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