第79話 父へのビーム
――― 美琴side ―――
朝食を食べながら「あ、そこのジャム取って」など話をしていると、「そう言えば、昨日一緒に歩いていたのは誰だ?」と父親が聞いて来た。
突然の質問に「え?」と聞き返す。
「え、いやぁ、誰かと一緒に歩いているのを見かけたから・・・・」と尻すぼみになりながら聞いてくる父親。太鼓台を見た後、健太に家の近くまで送ってもらったが、どうやら父親が2人で歩いてる姿を見かけたらしい。
美琴は気づいていないが、美琴の背中越しに目からビームが出るのではないかと思うくらいの視線で父親を見ていた母親。その視線に気づき尻すぼみで元気がなくなっていく。
「えっと、友達?かな」と答える。
「どこの友達だ?」としつこく聞く父親。母親のビーム視線は継続中・・・・・。
「えぇ、どこのって聞かれても・・・・最近図書館で知り合った人。東京の人だって」と簡単に言う。
「最近知り合った人と祭りに行ったのか?」と食い下がる。
流石にうんざりしていると、「はいはい、もうその辺でね。美琴ご飯食べちゃいなさい」と母親の助け舟が出てきた。
「はーい」と返事をしてコーヒーを飲み干し、「ごちそうさまー」と食器を下げる。
リビングから出ていく美琴を見送り、父親へのビームを再開する母親。
「・・・わかった、わかった。そんな目で見るな。お前は気にならんのか?」と降参した様子で話す父親。
そんな両親のやり取りを聞こえないふりをして2階に上がる。(はぁ、面倒くさい・・・・)
大学を卒業して程よい年になり親の気持ちも分からないでもないが、あからさまに言われるとちょっと反抗したくなる。少しだけイライラしながら棚にぶら下がったカンカン石を一つ叩く。
『カーーーン・・・・・』無言でもう一度。
『カーーーーン・・・・』
目を閉じて音を聴いているとフッと肩の力が抜けてきた。
――― 美琴side 終了 ―――




