第78話 熟睡
あまりに疲れていたので深く考えもせず、「あぁ、送ってきた」と答えると、
「やっぱりデートか。浴衣で良かったのぉ。褒めてくれたか?」とニヤリ笑うじいちゃん。
やっとからかわれていることに気づき、「あぁ」とだけ言って2階に上がる。
階段を上がる俺の背中に向かって「風呂入れよ」と声が飛んでくる。
照れくさいのと、絡まれるのが面倒くさいのとで無言で上がって行く。
部屋に入り、浴衣の帯を取る。履き慣れない草履で足の指は痛いし、帯から解放されて「ふぅ」と息をつく。
美琴さんの浴衣姿を思い出し、(似合ってたなぁ・・・・)と思い出しては恥ずかしくなり頭をガシガシと掻く。
夜とはいえ蒸し暑く汗だくだったので、風呂に入ろうと階段を下りていくと、ばあちゃんの姿が見えた。
「ばあちゃん。浴衣ありがとう。洗濯とかはどうしたらいい?出しとけばいいのかな?」と聞く。
「あぁ、帯も一緒に選択の所に置いといてくれたらいいよ」とばあちゃん。
「分かった。後で出しとくよ」と返事をして風呂に入る。
ゆっくり湯船につかって「はぁ」と人心地着く。
(夏休み、あっという間に終わりそうだな・・・・・・。そうすると美琴さんと会えるのも後どれくらいだろう・・・・。とりあえず、次は花火だな。今日約束して別れたらよかったなぁ・・・)
風呂から上がり、布団に転がりながら来週の花火の時間を確認する。
(20時からかぁ。どうしよう・・・・。太鼓台と同じように屋台で食べるっていうのもな・・・・)
と考えてみたものの、いい案が浮かばないまま一日の疲れでいつの間にか眠ってしまっていた。
翌朝じいちゃんに「健太―。ラジオ体操行くぞー」と起こされるまで熟睡だった。




