第8話 瀬戸大橋記念公園
(『番の洲』はこっちか。車線分かりにくいなぁ)と車の古いナビを見ながら橋の下を進む。
自動販売機が並んだ駐車場に車を停めて公園の中に入ると、夕方とはいえさすがの暑さに人かげはまばらだった。
チョロチョロ水が流れるのを横に見ながら展望台の方へ行く。
「ふぅふぅ・・・暑い。もうちょっと時間をずらしても良かったかも」とつぶやきながら階段を上り海を見る」
本当に海なのかと思うくらい波が無く穏やかな海面。『ちゃぷんちゃぷん』と岸壁に緩く打ち寄せているのが見える。
「天気予報でも波の高さ50㎝って言ってたな。高知の方はもっと高かったけど」
少し上がった息を整えながら海を見つめる。
少し離れた所を漁船なのか観光船なのか小さな船が通っていく。
東京と同じ時間の流れだというのが信じられないくらい、ゆっくりとした時が流れていた。
(なんであっちだとみんな急いでるんだろうな)
と自分も含めて「何でだろう」と思わず声が出てしまう。
しばらくボーっと眺めていたが(さすがに暑いな。そろそろ帰るか)と駐車場に向かう。
その時
『カーーーン・・・ キーーーーン・・・』
あの音が聴こえた。
『あっ!』と周りを見ても俺以外に人はいない。
『カーーーン・・・』
まだ聴こえている。下を見下ろして周りを見ていると、今いる建物よりもう少し海の方から聞こえてくる気がした。
微かな音を聴きながら歩いて行くと半円のドームのような場所があった。そこには海を背景に舞台があり、何か箱のような物を手にした人が立っていた。




