第75話 たこばん
屋台はたくさんの人で賑わっていた。定番の『綿あめ』『タコ焼き』『かき氷』『ポテト』や『焼き鳥』『フランクフルト』『りんご飴』などの食べ物屋台が立ち並ぶ。
美琴さんも「見てるとお腹空いてきました」と笑いながら「なにがいいかなー」とキョロキョロ見渡している。足元を見ずに歩いていたので、履きなれない草履が小石を踏みよろけてしまう。
「おっと・・・」と思わず肩を支える。
「すみません・・。ありがとうございます」と俺を見る美琴さん。
思わず肩を支えたので、顔が近い。
「す、すみません」と手を放して謝る。
「なんで、健太さんが謝るんですか?私こそキョロキョロしててすみません」と逆に謝られてしまった。
「人も多いですから気をつけてくださいね」と声をかけると、
「何だか健太さんの方が年上みたいですね。ふふっ」と柔らかく笑う美琴さん。
返す言葉を探していると、「あっ、健太さん。あれ知ってますか?」と不意に話が変わった。
話が変わったことにホッとしながらもちょっと残念な気持で美琴さんが進む先を見る。その店の幕には『たこ判』と書いてあった。
「『たこばん?』ですか」と聞く。
「知ってますか?」と聞かれ、「いやぁ、初めてです」と答える。
「うーん、何て言うか・・・・大判焼きってあるでしょ。その型で焼いたお好み焼きです・・かね?」
(何で疑問文?)と笑いそうになるのを我慢しながら「お好み焼きですか?」と聞く。
「そうです。屋台でよくあるお好み焼きより、こう『ぎゅっ』と『ずしっと』した感じに詰まってて食べ応えがあるんですよ」と良く分かるような分からなうような説明。
「せっかくなんで食べてみます」と答え、「美琴さんはどうします?」と聞く。
「私もたこ判は久しぶりなので、一緒にいただきます」ということなので、2個注文する。
焼きたてを買って、近くのベンチに座る。(ちょうど開いたタイミングで見つけられて良かった)




