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第74話 お互いに

「ちょっと丈が短いような気もしますが、まぁ浴衣ですし夜のお祭りでそんなに足元ばかり見る人なんていないでしょうから」と言いながら浴衣を着た俺を一回り見て、

「おじいさんの若い時を思い出しますねぇ」と目じりが下がる。

「なんや、儂は今でも若いわ」というじいちゃんを「はいはい」と軽くあしらう。


「草履は儂の履きなれたんを履いて行けや」と少しだけくたびれた草履を出してくれた。

「せっかくの祭りやゆっくり楽しんで来いよ」と言われ、「ありがとう。いってきます」と家を出る。


浴衣に草履・・・・・。思わぬ服装になってしまった・・・・・。美琴さん何て言うかな・・・・・。


ドキドキ緊張しながら待ち合わせ場所に行く。

さすが祭りの夜。いつもと違ってあまりの人でごった返していた。


(美琴さん気づくかな・・・・)と心配しながら立っていると、


「健太さん?」と声をかけられた。


振り返るとそこには浴衣姿の美琴さんが立っていた。


浴衣姿にびっくりしたのと、あまりに似合って綺麗だったので「美琴さん・・・・」と一言だけ言って固まってしまった。


そんな俺の反応に「すみません、やっぱりおかしかったですかね、浴衣。母が『せっかくだから』って浴衣を出してくれてずいぶん久しぶりに着たんです」と恥ずかしそうに自分の足先を見ながら言う。


「え、いや、あの、えーっと、何て言うか・・・・綺麗です!」と思わず言ってしまった。


「えっ・・・」と固まる美琴さん。


「俺もじいちゃんがせっかくだから着ていけって浴衣を出してくれて、でもじいちゃんのだからちょっと古くて、丈も合わなくて・・・」と早口で言う。


慌てる俺を見ながら「健太さんも似合ってますよ。でも確かにちょっと丈は合ってないかもですね」と恥ずかしそうに笑う美琴さん。


「へへっ」と俺も照れながら笑う。


2人で笑って「じゃあ行きますか」と並んだ屋台の方に行く。


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