第70話 水族館
「じいちゃんの家に来たのもずいぶん久しぶりで、どこに行ったかとかあんまり覚えてないんですよね。なので、距離感とかも分からないし、美琴さんの思う所でいいですよ」と答える。
「こんなに暑い時じゃなかったら、『金刀比羅さん』とか『丸亀城』『栗林公園』、『屋島』とかいろいろあるんですけど、歩き回るのは大変ですからねぇ・・・・・」と少し考えている様子。
「うーん、東京から来た人には物足りないかもしれませんが、水族館ってどうですか?建物の中は涼しいですし、イルカショーをやっていたら瀬戸内海を背景にショーが見られて綺麗なんですよ。ここからも近いですし」と美琴さん。
「水族館かぁ。しばらく行ったことが無いですね。子どもの頃遠足で行ったっきりかもしれないです」と俺が言うと「じゃあ、決まりですね」と美琴さん。
坂出北インターを降りてそのまま大きな道を西に進む。瀬戸大橋記念公園に行くときに通った交差点をそのまま西に進み宇多津に入る。交差点を海の方に曲がると『四国水族館』という綺麗な建物が見えてきた。数年前に出来たばかりらしい。駐車場に車を停め、入場券売り場で券を買う。もらった案内を見ると、
日本最大の内海である瀬戸内海、世界最大の暖流・黒潮が流れる太平洋、人々の生活を支えた人造湖や清流・四万十川をはじめとする清流の数々。多面性に満ちた水景の数々を体験できるとある。なんとマスコットキャラクターは『シュモクザメ』がモチーフらしい。
(サメが可愛いキャラクターっていいのか・・・・?)と思っていると、
「しゅこくん、可愛いですよね。ぬいぐるみとかあったら後で買おうかな」とつぶやく美琴さん。
館内の展示はいろいろな工夫がされていて見やすいし、広々としていて落ち着く。マスコットキャラクターの素になったシュモクザメももちろんいて、下からサメを見上げるという何とも面白い水槽だった。
『瀬戸内ゾーン』や『太平洋ゾーン』『深海ゾーン』など様々に分かれていて、食卓で見慣れた魚を見つけては「いた、いた」など楽しみながら館内を回っていく。午前最後のイルカショーに間に合いそうだったので、2階の海豚プールに向かう。日陰になっている所を探して2人で座る。海豚が泳ぐプールの向こうには海が見える。
「このプールの縁が無かったら、本当に海で泳いでるみたいに見えるでしょうね」と俺が言うと、
「天気がいい夕方だと綺麗な夕焼けの空に染まった海を背景にショーが見られるそうですよ。見に行った友達がスマホの写真を見せてくれたんですけど、すっごくきれいでした。いつか見てみたいです」と夏真っ盛りの海を背景にプールの写真を撮る美琴さん。
「俺も見てみたいですね」と本心から言う。
「そろそろ始まるみたいですね」と飼育員さんらしき人が数名出てきて、その後に何頭かのイルカが泳いできた。




