第67話 おいり
「ちょっと休憩しましょう」とお店に入る。
エアコンが聞いた店内に生き返る。首や顔の汗を拭きながら「さすがに暑かったですね」と声が出る。
俺のつぶやきを聞いて「すみません。私がお願いしたばっかりに・・・」と申し訳なさそうに言う美琴さん。
「そんな、大丈夫です。夏が暑いのは当たり前ですから」と訳の分からない返事になってしまう。
「あれ、違うなぁ・・・えーっと」と言いかえる言葉を探していると、
「優しいですね。健太さんは」と笑顔の美琴さん。
笑顔になった美琴さんに安心して「暑いですけど大丈夫です」と俺も笑いながら言う。
よしマルシェというお店をのぞくと、いろんなお店のうどんを売っていたり、香川ならではのオリーブや和三盆、瀬戸内レモン味のバウムクーヘンなどのお菓子や地域限定のグッズなど、見ていて面白い。
ぐるっと見て回り、一息つこうとジェラート屋さんに行く。いろいろな味がある中で、丸いコロコロした物がトッピングされているソフトクリームがあった。
「これ、可愛いですね」と美琴さんが指さす先を見る。
「この丸いのって何でしょうね?」と言うと、
「これは『おいり』ですよ」と美琴さん。
「『おいり』ですか?」と聞き返す。
「香川で古くからあるお菓子で、ほんのりニッキの香りがするサクッとした軽い食感で、手が止まらなくなる感じで食べちゃいますね。結婚式の引き出物などでもよく貰うんですが、花嫁さんの幸せをおすそ分けする縁起物で『幸せのお菓子』とも呼ばれてるそうです」と詳しく教えてくれた。
「『幸せのお菓子』ですか・・・・」とつぶやきながらトッピングされたソフトクリームを見る。
「食べてみますか?」と聞かれ、
「ぜひ」と答える。
店員さんに2つ注文して、椅子に座って食べる。
ソフトクリームにカラフルな「おいり」が乗って見た目にも可愛い。せっかくなので、一粒食べてみる。
ちょぴりしっとりしているが、サクッと噛むごとにふわっとシナモンが香る。
「面白いですね。色が違っても味は一緒なんですね」とモグモグ食べながら言うと、
「食べ慣れてしまってて、「色で味が違う」なんて思ったことが無かったです」と笑いながらいくつかお入りをスプーンですくって口に入れ「うん、やっぱり味は一緒・・・」と小声でつぶやく美琴さん。




