第59話 茄子素麺
テーブルの上には、「豚しゃぶサラダ」「夏野菜の焼き浸し」「梅きゅう」と「もろきゅう」「茄子素麺」と野菜がメインのおかずが並んでいた。
「きゅうりと茄子、ピーマンのおすそ分けをたくさんいただいたので、今日は夏の野菜をたっぷり食べてくださいね」とばあちゃん。
茄子素麺は俺の好きなメニューの一つだ。茹でた素麺の上に煮汁たっぷりで甘辛く味付けした茄子と油揚げを乗せて一緒に食べる。いつも食べる素麺とは違って、ちょっと『ベタッ』としてるけど、甘辛い味付けでいくらでもズルズル入っていく。あっという間に食べきってしまった。
俺の食べっぷりを見て、「健太はこれが好きだねぇ。素麺まだ残ってるからもう少し食べるかい?」とばあちゃん。
食べ始めたところでもう一度席を立とうとするのが申し訳なくて「いいよ、いいよ」と言うが、「茹でてしまった分は食べてくれると助かるんよ。この時はいつも茹ですぎてしもうて・・・」と構わず俺の器を取って席を立つばあちゃん。
「ありがとう」とその背中に声をかける。
「若いもんはいっぱい食べたらええ。そのうち腹が出るのが気になって食べられんようになるけんの。がはは」と笑うじいちゃん。「ばあさんの茄子素麺は絶品じゃ。儂も昔は夏時の弁当によう入れてもろうとった。仕事が忙しゅうて食欲が無い時でも『ズルズル』と入って、味が濃いけんそれをおかずにご飯がすすむんじゃ」と茄子素麺とご飯を交互に食べながら「旨いうまい」を連発している。
「はいよ」とばあちゃんが戻って来て器を渡してくれる。茄子も油揚げもたっぷり入っていた。
「ありがとう」と受け取り、じいちゃんの様にご飯と交互に食べてみる。成程、確かにいいおかずだ。
しゃきしゃきキュウリも瑞々しくておいしい。付け合わせの梅はもちろんばあちゃんの手作り。塩たっぷりでとびきり酸っぱい。味噌はいりこが入ったいりこ味噌。魚の旨味と味噌の味とキュウリが美味しい。ばあちゃんの梅酒を炭酸で割った梅酒ソーダと良く合う。
いつもビールのじいちゃんも今日は梅酒ソーダを飲んでいる。色がほんの少し濃いのを見ながら「去年のがまだ残っとったんじゃのぉ」と嬉しそう。
ばあちゃんと横目でニヤリと笑い合い「ばあちゃんの梅酒は美味しいね」とじいちゃんに言う。
美味しいご飯をたくさん食べた後は、お楽しみのアイス。
じいちゃんもばあちゃんも「久しぶりやなぁ(ですねぇ)」とニコニコ顔。




