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第57話 ばあちゃんの梅酒

(別にいいなら、聞かなきゃいいのに・・・・・)と心の中で文句を言っていると、


「ばあさんも好きやから持ってってやれ」と袋を渡された。

「え?別にじいちゃんが渡せば・・・」と言うと、

「せっかくの土産や。お前から渡したらえぇ」とじいちゃん。


押し問答していてアイスが解けても困るので、「分かった」と袋を持って「ばあちゃーん」と奥に向かって声をかける。


廊下を奥に歩いて台所まで行くとばあちゃんが梅酒のビンを床下から取り出して混ぜていた。


「お帰り、健太。何かあった?」と腰を屈めたままのばあちゃん。


「これ、貰ったんだ。ばあちゃん好きかなと思って」と抹茶ソフトが入った袋を見せる。


「何だい?」

「抹茶のアイス。商店街の中のお茶屋さんの。かき氷食べたけど美味しかったよ」と箇条書きの様に話をする。


「あぁ、あそこの」と腰を伸ばして俺を見る。


「――――よくお店があるなんて分かったねぇ。今の若い人たちが良く言う『ネットで』ってやつかい。最近はあの辺りを歩くことも無くなってすっかりご無沙汰だったよ。ありがとう。夕飯の後でいただこうかね」とアイスの袋を冷凍庫に入れる。


アイスを見届けて、ばあちゃんが見ていた梅酒のビンを俺も覗き込む。


「良い色だね。甘酸っぱい匂いもする」とワクワクしたような顔でばあちゃんを見る。

そんな俺の思いに気づいてか「飲んでみるかい?」とばあちゃん。


「いいの?」と聞くと、

「夕飯時に一緒に飲んでもいいけど、ちょっと味見するくらいならいいさね」と食器棚をゴソゴソして、小さなグラスに氷をコロンと一つ入れ、梅酒をお玉ですくって入れてくれた。


氷に注がれることでユラユラと琥珀色が揺らめき、氷がなじむようにグラスを回すと、『カラン』と涼やかな音がする。


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