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第54話 多幸八喜

「デザートに抹茶ソフトか、かき氷いきたいですね」と目を輝かせながら考えている美琴さん。

子どもっぽい様子に思わず『ふっ』と吹き出してしまった。

そんな俺を見て「何ですか?」と不満げに見てくる。

(それもまた可愛い・・・・・。おっと、いけない)


「じゃあ軽く、たこやきにしますか?俺は中華そばにします」

「そうですね・・・・・」と真剣に悩んでいる。

「足りなかったら追加注文したらいいんじゃないですか?」と声をかけると、折り合いがついたようで

「そうします。すみませーん」と店員さんを呼び、中華そばと多幸八喜を頼む。


料理が来るまでに、カンカン石の話をする。

「石が増えたらまたお父さんに台を作ってもらわないといけないですね」と美琴さん。

「あの、大きな石は吊るせるんですかねぇ」と一番大きな石を思い出しながら聞いてみる。

「並べて鳴らすにはバランスが悪いかもしれないので、あの大きな石は一つだけで吊るしてもいいかもしれません。たくさん吊るして重くなると運ぶのが大変そうで・・・・」と頭の中でシュミレーションしている様子。


「・・・・確かに。石ですからねぇ。たくさん吊るしたり、大きいのを吊るすと重くなりそうです」と答えると「ですよね・・・」と考え込む。


そんなこんなで話し込んでいると、

「おまたせしました」と中華そばと多幸八喜が来た。


「え?」と机の上に置かれたものを見て反射的に言葉が出る。

俺のビックリした顔を見て「ですよね」といたずらが成功したかのように笑う美琴さん。


「この店の多幸八喜はソースじゃないんですよ」と出汁が注がれた器を見せる。


「これって明石焼きなんですか?」と聞くと、

「どうなんでしょう?初めて見ると『え?』ってなりますよね」と熱々の多幸八喜を優しく箸でつまんで出汁につける。ぱくりと口に入れて「はふ、はふ。熱っ」と口をパクパクさせる。


じゃあ俺もと中華そばをすする。あっさりした味のスープと麺が良く会う。キャベツの千切りが乗っているのが珍しいなと思う。ズルズルすすってあっという間に食べてしまった。


熱々の多幸八喜を食べていた美琴さんは先に食べ終わっており、既にデザートメニューを見つめている。

あまりに真剣に見ているので、声をかけるか迷いながら「決まりました?」と聞いてみる。


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