第46話 泣く子も黙る
噴き出していた汗が少し落ち着いたので、じいちゃん家に帰る。
丁度番の洲の工場で働いている人たちの帰宅ラッシュに重なった。
図書館で見た本によると、たくさんの工場や倉庫が立ち並ぶ番の洲。昼夜を問わず生産活動が行われていたりと、多くの人が働いている。少し離れた所からここの夜景を見ると、瀬戸大橋と共に光り輝く工場の夜景が素晴らしいらしい。
(就職活動って東京じゃなくてもいいのかな?宮井が就活してたのってどんな会社だっけ?)
と今になって考えてしまう。
周りに置いて行かれてる。自分だけできてない。内定がもらえないのは自分に何かあるんじゃないか。と、考えてもどうしようも無いことがグルグル巡る。
「はぁ、もう、やめやめ・・・・」と渋滞での運転に集中する。
何とか無事に帰宅して、ばあちゃんのご飯をいただく。
一緒に食べてるじいちゃんを見て、ふと思った。
「じいちゃんって何の仕事してたの?」ともぐもぐ口を動かしながら聞く。
「なんや、急に。儂か?儂はのぉ、泣く子も黙るあれじゃ、あれ」と日本酒が入った猪口を振りながら机に肘をついてごきげんなじいちゃん。
「あれ?」と何も思いつかずにそのまま聞き返す。
「そうじゃ、あれじゃ」とうんうん頷くじいちゃん。
(わかんないよぉ・・・・)
みかねたばあちゃんが「おじいさん、健太が困ってますよ。で、泣く子も黙るじゃなくて、『泣く子も笑う』でしょ。ふふふっ」と笑うばあちゃん。
「おぅ、儂は泣く子も笑うお巡りさんじゃ!」と胸を張るじいちゃん。
(いや、やっぱり『泣く子も黙る』で合ってるんじゃ・・・・・?)




