第39話 掘ってみよう
手袋で土を払って石を見る田所さん。
「うん。これはサヌカイトだな。良かったね、ここで見つかりそうだ。俺に音の良し悪しは分からんが、好きなだけ掘ってっていいぞ」
2人で顔を見合わせて「「ありがとうございます」」と答える。
「俺はこの後お客さんの所に行かなきゃならんが、ここは作業場の外だし、好きに掘って帰っていいぞ。もし穴を開けたい石が出てきたらそこの箱にでも入れといてくれ」とありがたい提案。
「何から何まですみません」とお辞儀をする美琴さん。俺も一緒にお辞儀をする。
「良いって事よ。これであいつに飲みをおごってもらう理由が出来たってもんだ。がははっ」と豪快に笑いながら田所さんは行ってしまった。
2人になって山肌を見ながら
「まさか、こうなるとは思いもしませんでした」と美琴さん。
「俺もびっくりです。でも、良かったですね。石が見つかって」と真剣に山肌を見ている美琴さんに声をかける。
「「じゃあ、やりますか!」」
石を掘るなんて思ってもみなかったので、スコップも無く2人とも木の枝を拾ってきて掘り始める。
流石に素手では危ないだろうと思っていると、美琴さんが車から手袋を出してきた。
「この間お墓の掃除に行ったときに積んでた軍手がありました。健太さんはこれ合いますか?」と俺に渡してくる。
「合いますけど、美琴さんのはあるんですか?」と聞く。
「私は車の運転用に指先まであるアームカバーがあるので、それを使います」とさっきまで付けていた長い手袋を出してきた。
「じゃあ、ちょっと掘ってみますか。できるところまで」と再び掘り始める。
暑いさなかの土いじり。どんどん汗が噴き出してくる。
作業場の入口にある自動販売機で飲み物を買い、水分補給と休憩をしながら掘り進める。




