第3話
じいちゃん家は昔ながらの木造で、クーラーの効きは今一だけど、何だかホッとする。
(就職活動の事はちょっと置いといてのんびりするか・・・・)
ばあちゃんのご飯は『トンカツ』『エビフライ』『チャーハン』『ポテトサラダ』と俺の好きな物ばかり。
「たんと食べな。ほれ、これもあるよ。春に作って冷凍してたもんだけどね」とタッパーウェアに入った佃煮のような物を出してきた。
「ひょっとして」と覗き込みながら期待のこもった声で聞く。
「そうだよぉ。健太が前に食べて美味しいって言ってた『イタドリ』さ」とばあちゃん。
「おぉ、やったぁ。これ東京じゃ食べられないんだよね」と嬉しさが声に乗る。
「そりゃ、そうじゃろ。この辺の山ではいくらでも取れるが東京じゃのぉ」とじいちゃん。
ばあちゃんの作ってくれた『トンカツ』達より先に『イタドリ』に箸を伸ばす。
『シャキシャキ・・・・・』
「うーん。美味しい。前に食べたの何時だっけ?この歯ごたえと油揚げと味付けが本当に美味いよばあちゃん」とつい大きな声で言ってしまった。
「そんなに喜んでもらえて良かったよ。健太が来るって知ってたらもう少し残しとくんだったんだけどねぇ。」と残念そうに言うおばあちゃん。
「いやいや、急に行くって俺が言ったんだから気にしないで。これだけでも食べられて良かったよ」と慌ててばあちゃんに言う。
「そうかい、じゃあ来年の春に良かったらおいで。一緒に取りに行こうかね」とのんびり笑いながら言うばあちゃん。
「春かぁ、そん時にまた来たいな(就職できてたらね・・・・)」とちょっぴり元気なく答えてしまった。
ゆっくり風呂に入ってその日は休み、次の日の朝。
「健太、いくぞ」とじいちゃんに起こされた。
「え?今何時?」とびっくりして枕もとのスマホを探す。
「もうそろそろ6時半になるぞ」と元気なじいちゃんの声。
「まだ、六時半?え?どこ行くの?」とまだはっきりしない頭で答える。
「決まっとるじゃろ。ラジオ体操じゃ」とせわしないじいちゃん。
「ええっ!」・・・・目が覚めた。




