第27話 讃岐富士
車に乗り、クーラーを全開にする。
『ブオォオオオ』と勢いよく出てくる風に「はぁーー」と人心地つく。
「じゃあ、次行きますよ」と美琴さん。
「このままいくんですか?」とびっくりして聞いてしまう。
「ふふん。覚悟しておいてくださいね。もう無理ですってなりますから」といたずらをしかけるように笑う美琴さん。
「すごく楽しそうです。いや、俺も楽しみですけど・・・」と言うと、
「香川県人はうどん県人ですからね。うどんの話になると止まらないですよ」と車を出す。
「まぁ、ちょっと遠いからお腹も少し落ち着くと思いますよ」と次はお握り型の山に向かって走り出した。
「あそこに見えてる山っておにぎりみたいでしょ。この辺りで育った子どもたちに『山を描いて』って言うと、ああいう、ぽっこりした山を描くんだそうですよ」と美琴さん。
「へぇ」(俺はどうかなぁ。まぁ富士山だったらああいう形かなぁ。)
「飯山って名前なんですが、富士山みたいだから『讃岐富士』とも言うんです。この辺りの学校の校歌にも出てくるんですよ。『瀬戸の海』とセットで。」など、プチ観光案内をしてもらいながらドライブする。讃岐富士を超えた辺りで、川沿いの道に入る。
「あぁ、出てる出てる。よかった」と何かを見つけて言う美琴さん。
「え?」っと聞くと
「ほら見て、あそこ。鯉のぼり」と空を見る。
言われて車の先を見ると、確かに大きな鯉のぼりが泳いでいた。
「今、8月ですよね?」と言うと、
「まぁ、そうなんですけどね」と美琴さん。土手の上の道を横に下っていくと、駐車場があった。県外ナンバーがたくさん停まっている。




