第20話 石の本
じいちゃんたちと夕飯を食べて風呂で汗を流す。
「山家美琴さん・・・かぁ。優しそうで綺麗な人だったな・・・・。」と湯船の湯を掬いで顔をザバッと流す。
風呂上りはクーラーの下で汗を引かせ人心地着いたら布団に転がる。
じいちゃん家の軒下の風鈴が『チリリ』と音をたてる。風に揺れる風鈴をぼんやり見ながら
山家さんが鳴らしていた石琴を思い出す。
「いい音だったな・・・・・。またどこかで会えるかな」とつぶやきながらゴロリと横を向く。
翌朝もじいちゃんとラジオ体操に行き、涼しい図書館に行く。
何を読もうかウロウロ書棚を行ったり来たりしていると、「あら」と声が聞こえ、声の主を探すように振り返る。
「美琴さん?」とつい名前を読んでしまい「すみません、山家さんですよね」と頭を掻く。
一瞬驚いたような顔をした美琴さんが「いえいえ、いいんですよ。名前を呼ばれると思ってなかったのでびっくりしちゃいました」とはにかんだように笑いながら言う。
「いいですよ、美琴で」と照れくさそうに言う。
「すみません。・・・じゃあ、おれも健太でいいです」と勢いで言ってしまった。
「・・・・健太さんですか?」と目を丸くしながら聞き返されてしまった。
「はい、もしよかったらですけど・・・・・」と思いがけず言ってしまい、少し不安になりながら美琴さんの顔を見る。
「なんか、照れちゃいますけどいいですよ。健太さん」と笑う美琴さん。
(やったぁ)
お互いに照れながら下を向く。
「・・・何か探している本があるんですか?」と美琴さん。
「いやぁ、じいちゃんの家にいても暑いんで避暑がてら図書館に来ました」と頭を掻きながら言う。
「ふふふっ。そうなんですね」
「美琴さんは探し物ですか?」
「えぇ、石の本でも探してみようかなと思いまして」と棚を見上げながら言う。




