第18話 怪しい?
「すみません。聞きなれない音が聴こえたので、何だろうと思って・・・。怪しいもんじゃないです」と頭を下げながら慌てたように言ってしまった。
(バカ!慌てたら逆に怪しいだろ!)
「ふっ、ふふふ」と笑い声が聞こえて顔をあげると、女性が笑っていた。
(山家美琴さん・・・か)
「私こそ驚かせてしまったみたいでごめんなさい。誰か聴いてるなんて思ってもいなかったから」と美琴さんも頭を下げる。
「いや、俺こそ」と頭を下げると、二人とも向かい合ってお辞儀をしたようになってしまった。
「ふふふっ」
「へへっ」と二人で同時に吹き出してしまった。
「中山さんは、近くの人?」
「え、いや、東京の大学行ってて、夏休みにじいちゃんの家に遊びに来たんです(就職活動で悩み中ですけどね・・・)」
「そうなんですね。私も東京の大学に行ってたんですよ。音楽大学ですが・・・」と優しく笑いながら言う山家さん。
「家は多摩の方にほうにあるんです。山家さんは香川の人なんですか?」
「大学は東京だったけど、卒業してすぐこっちに戻って、それからずうっと坂出にいます」
「すごく久しぶりに来ましたけど、海がきれいで、ゆっくりしてていいですよね」とステージの向こうの海に視線を向ける。
「そうですね。雨が少なくて困る事もありますが、こうやって直ぐ海が見れるし、のんびりしてるし私は好きですね」と山家さんも同じように海に視線を向ける。
その時『ガタンガタン・・・ガタンガタン』と大きな音がして電車が橋を通っていった。
あまりに音が大きいので、思わず話を中断して真上を通る電車を見てしまう。
山家さんは電車を見ながら何か言っていたが、上手く聞き取れなかった。
電車が通り過ぎた後に「何て言ったんですか?」と聞くと
「アン〇ン〇ン電車って言ったのよ」と教えてくれた。どうやら顔が丸くて餡子が詰まったみんなが知ってるキャラクターが描かれた電車が通ったようだった。




