第15話 美琴 side7 ちょっとずれてる
『カーーン・・』『キーーン・・』『コーーン・・』と一つひとつ音が違う。
(うわっ、すごい)
「これ、ドレミできそう・・・」と思わず目が丸くなってしまう。
自分の耳を信じて一つひとつ鳴らしながら順番を変えていく。
『コーーン・・・』『キーーン・・』『カーーーン・・・』
ちょっとずれた音もあるけど、何となく『ドレミ』に聴こえる。
あまりの嬉しさに「ちょっとー。お母さーん。来てー」と階段の上からリビングに声をかける。
「何、大きな声を出して。お隣さんに聞こえたら恥ずかしいでしょ」と言いながらも階段を上がってきてくれた。
「いつもピアノが鳴ってるんだから、ちょっとくらいの大声大丈夫でしょ」と言い訳をして、
「これ聴いて」と話を変える。
「何?」と部屋に入ってくるお母さん。「また、散らかしてる。ちょっとは整頓しなさいよ」とヤブヘビでつつかれた。
「今はいいでしょ。それより、ちょっと聴いて」と並べた石を鳴らしていく。
『コーーン・・・』『キーーン・・』『カーーーン・・・』
「・・・・・・・」と目を丸くしたままのお母さん。
「どう?」と得意気に聞いてみる。
「すごい。けどちょっとずれてる」とお母さん。
「いや、まぁ、そうだけど、そうじゃないよ」と苦笑いの私。
「すごいじゃない。石でしょ。こんないろんな音が鳴るなんてねぇ」と感心したように言う。
「でしょ。私もびっくりしてお母さん呼んじゃった」と私も笑顔で答える。
この後、お母さんも一通り鳴らして満足して降りていった。




