第13話 美琴 side5 鳴るかな?
「何や、上手げなもんがあるな」と茶化したように言うお父さん。
「これでも商売しとるからな」と笑いながら言うおじさん。
「じゃあ、また」と挨拶をして失礼する。
車の中で穴の開いたカンカン石を大事そうに持っている私を見て、「よかったな」とお父さん。
「うん。ありがとう」と石を握って窓の外を見る。
家に帰ると裁縫箱を開けて、糸を探す。ミシン糸や刺繍糸はあるが、少し細くて切れてしまいそう。
「お母さーん。何か紐ないー?」と2階の部屋を出て階段を下りながら大きな声で聞いてみる。
「何?突然。紐?何にするの?」と?だらけで答えるお母さん。
「これみて。穴を開けてもらったの」と石を見せる。
「あ、これ。おばあちゃんと拾ってた石ね。穴を開けたの?どうやって?」と相変わらず?だらけのお母さん。
「お父さんが田所のおじさんの所に連れて行ってくれて、穴をあけてもらった。紐で吊るして叩いたらいい音するかなーって」と質問だらけのお母さんに笑いながら答える。
「まぁ、ちょっといないと思ったら・・・そう。ちょっと待ってね・・・」
とリビングの棚の引き出しをゴソゴソ探すお母さん。
「あった、あった。これでどう?」と毛糸くらいの太さの紐をくれた。
「お母さんの編み物の紐。いいの?」と濃紺の刺繍糸よりしっかりした紐を受け取りながら聞く。
「ちょっとくらいいいわ。お母さんもどんな音がするか聴いてみたいわ」とお母さん。
「上手く鳴るかどうか分かんないよ」と言いながら穴に糸を通しぶら下げられるように輪っかにする。
「どうやって叩くの?」とお母さんに聞かれて
「あ、そうだよね。どうしよう・・・・」と考えて、「あれが使えるかも」と2階の部屋に取りに行く。
(えーっと、確かこの間片付けしてた時にこの辺で見たような・・・・・。あった!)
薄べったい箱を開いて棒を取り出す。そのままリビングへ。
「これでどうかな。いけると思うんだけど・・・」




