第12話 美琴 side4 開いた
「もともと、私じゃ穴を開けるなんて無理ですからやってみてください。もし割れたとしても大丈夫です」
「そうか、じゃあやってみるか。これくらいの大きさがいいかもしれん」と手のひらより少し小さいサイズの石を選ぶおじさん。
「奥でやってくるから、待っといて」と作業場らしい奥の方に行ってしまった。
しばらくすると『ウイーン』と機械の音が聴こえ『ガガガガ』と大きな音が響いて直ぐに止んだ。
―――――――
「開くのは開いたけど、どんなもんかな」とおじさんが石を渡してくれた。
縁がちょっとギザギザした石の上の方に小さな穴が開いていた。
「綺麗に開くもんですね」と感心したように言うと、
「これでも石は本職なもんでね」と頬を掻きながら言うおじさん。
「すみません。そんなつもりじゃ」と慌てて言うと
「わかってるさ」と笑ってくれた。
建物の周りに並んでいた石の置物を見ていたお父さんが戻って来て、
「で、どうなんだ?」と私に聞く。
「どう?」
「いや、音は鳴るんか?」
「うーん、吊るしてやってみないと分かんないかも」と何とも言えない返事をする。
「そりゃそうだな。じゃあ帰るか」と汗を拭きながら言うお父さん。
「もう帰るんか?」とおじさん。
「あぁ、金にならん用ですまんかったな」とお父さんがおじさんに言うと、
「ええよ、ええよ。手間もかかっとらんし。そんな穴でよかったらまたいつでもおいで」とお父さんの顔を見た後に私の顔を見る。
「ありがとうございます。ちょっと試してみます。次にお願いしたいときは連絡してもいいですか?」と聞くと、
「そうやな。留守にしてる事もあるし、来ておらんかったら申し訳ないけん、電話してからおいで」と名刺をくれた。




