第11話 美琴 side3 石に穴
「久しぶりだなぁ、田所」とお父さん。
「ん? 山家か?」とおじさん。
「一昨年の同窓会ぶりだな。元気か?」とお父さんが聞くと
「まぁ、石屋だからな。商売はボチボチさ。今日は何だ?お前の墓石か?今なら安くしとくぞ」とニヤニヤ笑いながら言うおじさん。
「今はまだいらんわ。そのうちやっかいになるかもしれんがな」とお父さんも笑いながら答える。
「こっちが家の娘の美琴だ」と私に話が回ってきた。
「初めまして。父がお世話になってます」とペコリと挨拶をする。
「あぁ、田所と言います。お父さんとは昔からのやんちゃ仲間ですわ。あんなに小さかった子がこんな美人さんになって。大きいなったなぁ。覚えとらんかもしれんが、お互い『子ども連れて公園行ってきて!』とカミさんに言われてよく公園で遊んだもんだ。しかし、お前の娘とは思えんくらい、いい娘さんじゃないか」とお父さんの肩を叩きながら言う。
「うるさいわ。余計なことは言わんでいい。そういえば、お前んとこの息子は元気か」と肩の手を振りほどきながら苦笑いのお父さん。
「家のバカ息子か?弓道の稽古や試合やゆうて何ちゃ家の手伝いをせん。今日もどっかで練習試合しとるわ。
・・・・で、墓石じゃなきゃ、今日は何の用だ?
「そうや、いらんでいい話をして忘れるところやった。美琴がカンカン石を持っててなぁ、電話でも言うたけどその石に穴を開けてもらいたいんや。できるか?」
「あぁ、何や言よったなぁ。カンカン石か?」
「これなんですけど・・・」と箱にタオルを敷いて大切にしまってある石を見せる。
「ほぉ、集めたもんやな」と大小さまざまな大きさの石を見て、一つ手に取るおじさん。
「できんこともないが、あんまり小さいと割れてしまうかもしれん」と顎に手をあてて考える様子。
「お父さんが『穴を開けて紐で吊るしたらいい音が出るんじゃないか』って言って」
「まぁ、そうかもしれんが・・・。ちょっとやってみるか。割れたらすまん」と遠慮がちに言うおじさん。




