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賢者の末裔ソラトと八英雄の遺産  作者: じろりんたん


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6/8

四属性の魔導書と“試し”の時

父は棚の最下段から、他の魔導書よりも厚みのある四冊を取り出した。

表紙にはそれぞれ、燃えるような赤、深い青、淡い翠、そして白銀の紋章が刻まれている。


「それじゃ最後に攻撃魔法だ。

攻撃魔法には属性があって、ここにあるのは“火・水・風・氷”の四つだけだ」


ソラトは四冊を見つめた瞬間、今まで触れてきた魔導書とはどこか“温度”が違うと感じた。

掌に近づけただけで、微かな熱気や冷気が皮膚を撫でるような錯覚がある。


父は続けた。


「本当はもっと多くの属性があるらしい。

雷とか土とか、光とか闇とか……

でもな、どうもご先祖様は攻撃魔法より“防御魔法”の方に興味があったみたいなんだ」


父は苦笑しながら、壁にかかった古い家系図へ視線を向ける。


「この村を守ってる結界も、もとは防御魔法の応用らしい。

それが五百年経っても壊れずに残ってるんだから……

うちの先祖は本当に変わり者だったんだろうな」


ソラトは四冊の魔導書を見つめた。


火の魔導書は脈打つように赤く、

水の魔導書は静かに揺らぎ、

風の魔導書はページが微かに震え、

氷の魔導書は触れる前から冷気を放っている気がした。


ソラトは最初の一冊――赤い紋章の魔導書にそっと手をかざした。


指先が触れる前、五本の指の間からふっと炎が揺らめく。

まるで魔導書のほうがソラトを歓迎しているかのように。


次に青い紋章の水の魔導書へ。

手をかざした瞬間、空気が湿り、透明な水膜が指の間で震える。


風の魔導書では、

ページが自らめくれ、ソラトの手のひらを撫でるように風が走った。


氷の魔導書に手を伸ばすと、

触れる前から白い冷気が指先にまとわりつき、霜の粒が舞った。


四冊すべてを終えたソラトは、胸の奥に“何かが満ちた”ような表情で父を見上げる。


「父さん、試しにいこう」


その声は、これまでより少しだけ強く、確信に満ちていた。


「……おうよ」


父の返事には驚きと誇らしさと、

そしてほんの少しの“恐れ”が混じっていた。

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