表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
賢者の末裔ソラトと八英雄の遺産  作者: じろりんたん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/8

魔導書庫とソラトの覚醒

翌朝、ソラトと父は朝食を終えると、家の奥にある魔導書庫へ向かった。

そこは先祖が魔法の研究に使っていた部屋で、五百年間、人間しか生まれなかったとはいえ――

賢者の血筋は例外なく好奇心が強い。

父も祖父も、ここにある書物を片っ端から読み漁ってきた。


歩きながら、父はふと笑った。


「そういえばソラトは狩りばかりで、ここには全然興味持ってなかったな」


ソラトは少し照れたように肩をすくめる。


「ロックと一緒に狩りするのが楽しくてさ。

あんまりこの部屋には来てないよ。それに……字もそんなに読めないし」


父は立ち止まり、魔導書庫の扉に手をかけながら言った。


「俺もおじいちゃんも魔法が使えないのに、ここにある書物は全部読んでるんだぞ。

で――魔法が使えるかもしれないソラトが興味なかったなんて…」


呆れたようで、でもどこか嬉しそうな声だった。


扉がきしみを上げて開く。

ひんやりとした空気が、古い紙の匂いとともに流れ出す。


父は棚から一冊の魔導書を取り出した。


「本来、魔導書ってのは“書かれていることを理解し、イメージして”魔法を使えるようになる。

でも、ここにある魔導書は先祖が改良してあってな――

魔力を持つ者が触れるだけで覚えられるようになってる」


父は本を軽く撫でてみせる。


「この通り、俺が触っても何も起きない」


そして、ソラトの方へ本を差し出した。


「――じゃあソラト。お前が触れてみろ」


魔導書庫の空気が、わずかに震えたように感じられた。


ソラトはそっと手を伸ばし、魔導書の表紙に掌を置いた。


その瞬間――

掌と本のあいだから、青白い光が一閃した。


ソラトは驚いて顔を上げ、父を見る。


「……わかった」


短くそう言うと、掌を上に向け、何かを強く思い描くように目を細めた。


次の瞬間――

掌の上に、淡い光を放つ球体がふわりと生まれた。


父は息を呑む。


「……灯光の魔術……。

こんな簡単に魔法が使えるとは……」


ソラトは目を輝かせながら、光の球を見つめた。


「すごいよ父さん。

この本に触れた瞬間、魔法の意味とか構造とか……全部、頭に流れ込んできたんだ」


今まで魔法に興味を示さなかった少年の瞳が、

初めて“未知への好奇心”で強く光った。


父はソラトの掌に灯る光球を見つめながら、興奮を抑えきれない声で言った。


「魔法は大きく分けて――

攻撃魔法、防御魔法、回復魔法、補助魔法の四つがある。

魔法使いによって得意分野が違うんだが……」


そこで一度息をのみ、続けた。


「五百年前のご先祖様は、その全部を使えた魔法使いだった。

それが“賢者の血筋”ってやつだ。

だからソラト……お前も、きっといけるはずだ」


父の目は完全に“研究者の目”になっていた。

魔法に対する強い好奇心が抑えきれない。


「よし、次だ!」


そう言うと、父は本棚に駆け寄り、次々と魔導書を引き抜き始めた。

ソラトはそれに手をかざす――まるで作業のように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ