第97話:平和な世界へ
フェリクスが一歳を迎えた。
ルーカスとセラは、盛大に誕生会を開いた。
「フェリクス、お誕生日おめでとう」
「一歳になりました」
二人は、息子を抱いて微笑んだ。
フェリクスは、最初の一歩を踏み出せるようになっていた。
まだおぼつかないが、確実に成長している。
「パ……パ……」
「パパって言った!」
ルーカスが、感動した。
「初めて、パパって……」
「殿下、良かったですね」
「セラも、聞いた?」
「はい。聞きました」
「嬉しい……」
ルーカスの目に、涙が浮かんだ。
* * *
誕生会には、多くの人が集まった。
王族、友人たち、そして恩人たち。
「フェリクス君、お誕生日おめでとう」
大司教が、祝福に来ていた。
「大司教猊下、ありがとうございます」
「この子は、祝福されている」
「……」
「神は、この子を守っている。私は、そう確信している」
大司教の言葉に、ルーカスは驚いた。
「大司教猊下……」
「殿下、あなたは『禁忌』ではなかった。この子も、決して『禁忌』ではない」
「……」
「神は、全ての命を愛している。私は、それをようやく理解した」
大司教が、微笑んだ。
「遅すぎた悟りですが、本心です」
「ありがとうございます」
ルーカスは、深く頭を下げた。
教会との和解は、本物だった。
それを、改めて実感した。
* * *
誕生会の後、ルーカスは考えていた。
「平和な世界……」
フェリクスが生まれてから、その願いはより強くなった。
子供には、争いのない世界で育ってほしい。
戦いを知らない、平和な世界で。
「殿下、何を考えていらっしゃいますか」
セラが、声をかけてきた。
「フェリクスの将来のことです」
「将来……」
「この子には、平和な世界で育ってほしい」
「はい」
「そのために、僕にできることをしたい」
「殿下……」
「国を守り、平和を維持する。それが、僕の役目だと思います」
ルーカスの目は、真剣だった。
* * *
ルーカスは、特務部門での仕事に、より一層力を入れた。
国境の警備を強化し、魔物の発生を未然に防いだ。
外国との交渉を進め、平和条約を締結した。
国内の治安を維持し、人々の安全を守った。
ルーカスの努力は、実を結んでいった。
「殿下、最近、国内は平和ですね」
「はい。争いが、減ってきています」
「殿下のおかげです」
「みんなのおかげです。僕一人の力ではありません」
「でも、殿下がリーダーとして、みんなを導いています」
「……」
「私は、殿下を尊敬しています」
「ありがとう、セラ」
二人は、微笑み合った。
* * *
ある日、フリードリヒ国王がルーカスを呼んだ。
「ルーカス、良い仕事をしている」
「父上、ありがとうございます」
「国は、お前のおかげで安定している」
「皆様のおかげです」
「謙虚だな」
フリードリヒが、微笑んだ。
「ルーカス、お前に頼みがある」
「何でしょうか」
「これからも、国を守ってくれ」
「……」
「お前の力は、国の宝だ。その力を、平和のために使ってくれ」
「はい。必ず」
ルーカスは、深く頭を下げた。
「父上、僕は……人間として、生きています」
「分かっている」
「戦うためではなく、守るために、力を使います」
「良い心がけだ」
「これからも、国を守り続けます」
「頼んだぞ」
父子は、固く握手を交わした。
* * *
その夜、ルーカスはセラと話していた。
「セラ、僕は幸せです」
「殿下……」
「人間として生き、家族を持ち、国を守っている」
「はい」
「これが、僕の望んでいた人生です」
「殿下……」
「全て、セラのおかげです」
「私のおかげ……」
「セラがいなければ、僕は人間になれなかった」
「殿下……」
「ありがとう、セラ」
「私こそ、ありがとうございます」
二人は、抱き合った。
「これからも、一緒に歩んでいきましょう」
「はい。ずっと、一緒です」
「平和な世界を、作りましょう」
「はい」
「フェリクスのために」
「はい。フェリクスのために」
二人は、微笑み合った。
平和な世界。
それは、ルーカスの願い。
その願いを叶えるために、これからも頑張っていく。
家族と一緒に。




