第96話:家族の幸せ
フェリクスが生まれてから、数ヶ月が経った。
ルーカスとセラの生活は、赤ちゃん中心になっていた。
「殿下、フェリクスが泣いています」
「はい。僕が行きます」
夜中に赤ちゃんが泣くと、ルーカスも一緒に起きた。
「フェリクス、どうしたの」
抱き上げると、赤ちゃんは泣き止んだ。
「パパに抱っこされると、安心するみたいですね」
「そうみたいです」
「殿下、良いパパですね」
「セラこそ、良いママです」
二人は、微笑み合った。
* * *
フェリクスは、すくすくと成長していった。
最初は寝てばかりだったが、少しずつ表情が豊かになっていった。
「あー、うー」
赤ちゃんが、声を出し始めた。
「フェリクス、何て言っているの」
「パパって、言おうとしているのかもしれません」
「まだ早いですよ」
「でも、きっとすぐに話せるようになります」
「楽しみですね」
二人は、赤ちゃんの成長を見守った。
* * *
ある日、フェリクスが初めて笑った。
「あ、笑った!」
セラが、声を上げた。
「本当だ。笑っている」
「可愛い……」
「とても、可愛いです」
二人は、赤ちゃんの笑顔に癒された。
「殿下、幸せです」
「僕も、幸せです」
「家族がいる幸せを、感じます」
「はい」
ルーカスは、しみじみと思った。
前世では、家族がいなかった。
戦闘用ロボットとして、一人で戦っていた。
しかし、今は違う。
妻がいる。
子供がいる。
家族がいる。
「僕は、幸せだ……」
心から、そう思えた。
* * *
家族で過ごす時間が、増えた。
仕事は続けていたが、できるだけ家族との時間を大切にした。
「殿下、今日は何をしますか」
「庭園を散歩しましょうか」
「いいですね。フェリクスも、外が好きですし」
「はい」
三人で、庭園を散歩した。
フェリクスを抱いて歩く。
セラが、隣で微笑んでいる。
花が咲き、鳥が歌う。
穏やかな、幸せな時間だった。
「殿下、この景色、綺麗ですね」
「はい。でも、セラの方が綺麗です」
「殿下……」
「そして、フェリクスが一番可愛いです」
「……ふふ」
セラが、笑った。
「殿下は、照れ屋ですね」
「そうですか」
「でも、そんな殿下が好きです」
「僕も、セラが好きです」
「フェリクスも、パパとママが好きですよね」
赤ちゃんが、声を上げた。
まるで、応えているように。
「そうだね、フェリクス」
ルーカスが、微笑んだ。
* * *
友人たちも、家族を見に来てくれた。
「ルーカス、フェリクスは大きくなったか」
クラウスが、赤ちゃんを見て笑った。
「はい。すくすく成長しています」
「良い子だな。お前に似て、穏やかそうだ」
「ありがとう」
「俺も、早く結婚したいな」
「クラウスなら、すぐに良い相手が見つかるよ」
「そうか……頑張るか」
友人たちと、笑い合った。
* * *
エリアスも、訪ねてきた。
「ルーカス、おめでとう。遅くなったが、祝福に来た」
「エリアス殿、ありがとうございます」
「フェリクスか。可愛いな」
「はい。自慢の息子です」
「……」
エリアスが、少し感慨深げに言った。
「お前と出会って、俺の人生は変わった」
「エリアス殿……」
「今では、お前が幸せになって、本当に嬉しいと思っている」
「ありがとうございます」
「これからも、仲良くしよう」
「はい。もちろんです」
二人は、固く握手を交わした。
* * *
夜、フェリクスを寝かしつけた後、ルーカスとセラは二人で過ごした。
「殿下、今日も良い一日でしたね」
「はい」
「家族がいる幸せを、毎日感じます」
「僕も、です」
「殿下と結婚して、本当に良かったです」
「僕も、セラと結婚して、本当に良かったです」
二人は、微笑み合った。
「フェリクス、すやすや寝ていますね」
「可愛い寝顔です」
「天使みたいですね」
「はい」
「殿下、これからも、三人で幸せになりましょう」
「はい。必ず」
二人は、手を繋いだ。
家族の幸せ。
それは、ルーカスが前世で得られなかったもの。
今、それを手に入れている。
大切に、守っていく。
その決意を胸に、ルーカスは眠りについた。




