第91話:結婚式の準備
卒業から数ヶ月が経った。
ルーカスとセラは、結婚式の準備を進めていた。
「殿下、招待状の確認をお願いします」
侍女が、書類を持ってきた。
「ありがとう」
ルーカスは、招待状のリストを確認した。
王族、貴族、友人たち……。
多くの人を、招待する予定だった。
「セラ、見てください」
「はい」
セラが、隣に座った。
「招待客は、これでいいですか」
「はい。漏れはないと思います」
「クラウスたちも、招待しましたね」
「もちろんです。大切な仲間ですから」
「はい」
二人は、微笑み合った。
* * *
結婚式は、王宮の大聖堂で行われる予定だった。
国王の息子の結婚式。
盛大なものになるだろう。
「殿下、式次第の確認をお願いします」
式典担当の官僚が、書類を持ってきた。
「ありがとう」
ルーカスは、式次第を確認した。
誓いの言葉、指輪の交換、祝福の儀式……。
伝統的な形式に従う予定だった。
「セラ、これでいいですか」
「はい。問題ありません」
「緊張しますね」
「私も、です」
「でも、楽しみですね」
「はい」
二人は、手を握り合った。
* * *
セラのウェディングドレスも、準備が進んでいた。
王宮の仕立て屋が、最高の技術で作り上げている。
「ヴェルディ殿、試着をお願いします」
「はい」
セラが、ドレスに着替えてきた。
純白のドレス。
レースと宝石で飾られた、美しいドレスだった。
「セラ……」
ルーカスは、言葉を失った。
「どう、ですか……」
「とても……綺麗です」
「本当に……」
「世界で一番、綺麗な花嫁です」
セラの顔が、真っ赤になった。
「殿下、大げさです」
「本当のことです」
「……ありがとうございます」
セラが、恥ずかしそうに微笑んだ。
* * *
結婚式の前日、ルーカスは緊張していた。
「明日か……」
窓の外を見ながら、呟いた。
明日、セラと正式に夫婦になる。
長い道のりだった。
しかし、ようやくここまで来た。
「殿下」
ドアをノックする音がした。
「入ってください」
入ってきたのは、アルベルトだった。
「兄上……」
「ルーカス、緊張しているか」
「少し……」
「そうか」
アルベルトが、隣に座った。
* * *
「ルーカス、明日で結婚か」
「はい」
「感慨深いな」
「兄上……」
「お前が生まれたとき、俺はまだ子供だった」
「……」
「あの頃は、お前がこんなに立派になるとは思わなかった」
「兄上……」
「しかし、お前は成長した。困難を乗り越えて、素晴らしい人間になった」
アルベルトの目が、優しかった。
「俺は、お前を誇りに思う」
「兄上……ありがとうございます」
「セラフィーナ嬢を、幸せにしてやれ」
「はい。必ず」
「約束だぞ」
「約束します」
兄弟は、固く握手を交わした。
* * *
同じ頃、セラも緊張していた。
「明日、結婚式……」
ドレスを見ながら、呟いた。
殿下と、正式に夫婦になる。
夢のようだった。
「セラフィーナ」
ドアをノックする音がした。
「母上……」
入ってきたのは、マリアンヌだった。
「緊張している?」
「少し……」
「大丈夫よ」
マリアンヌが、セラの隣に座った。
* * *
「セラフィーナ、明日で花嫁ね」
「はい……」
「あなたが生まれたとき、私はとても嬉しかった」
「……」
「可愛い女の子だったわ」
「母上……」
「その子が、こんなに立派に成長して、王子様と結婚する」
マリアンヌの目に、涙が浮かんだ。
「私は、とても幸せよ」
「母上……」
「殿下を、幸せにしてあげてね」
「はい。必ず」
「そして、あなたも幸せになってね」
「はい……」
母娘は、抱き合った。
* * *
夜、ルーカスとセラは、庭園で会った。
「殿下、明日ですね」
「はい」
「緊張しますね」
「僕も、です」
「でも、楽しみです」
「僕も、です」
二人は、手を繋いで歩いた。
「殿下、私、幸せです」
「僕も、幸せです」
「殿下と出会えて、本当に良かったです」
「僕も、セラと出会えて良かったです」
「明日から、夫婦ですね」
「はい」
「一緒に、幸せになりましょう」
「はい。必ず」
二人は、星空の下で、そっとキスを交わした。
明日、新しい人生が始まる。
二人で一緒に、歩んでいく。
その決意を胸に、眠りについた。




