第92話:結婚式当日
結婚式の朝が来た。
王宮は、祝祭の雰囲気に包まれていた。
花で飾られた廊下、赤い絨毯、きらびやかな装飾。
全てが、二人の門出を祝福していた。
「殿下、準備はいかがですか」
侍従が、声をかけてきた。
「はい、大丈夫です」
ルーカスは、正装を身に纏っていた。
白を基調とした、王族の礼服。
胸には、国境防衛で授与された勲章が光っていた。
「殿下、とてもお似合いです」
「ありがとう」
ルーカスは、鏡を見た。
緊張しているが、同時に幸せでもあった。
* * *
セラも、準備を進めていた。
純白のウェディングドレス。
ベールで顔を隠し、花束を手に持っていた。
「ヴェルディ殿、本当にお美しいです」
侍女たちが、感嘆の声を上げた。
「ありがとうございます」
セラは、少し恥ずかしそうに微笑んだ。
「殿下が、きっと喜ばれますわ」
「そうだといいのですが……」
「間違いありませんわ」
侍女たちが、セラを励ました。
* * *
大聖堂には、多くの招待客が集まっていた。
王族、貴族、各国の使節、そして友人たち。
「ルーカスの結婚式か……」
クラウスが、感慨深げに呟いた。
「感動しますね」
レオナルドが、隣で頷いた。
「俺たちの仲間が、結婚するんだな」
エリアスが、微笑んだ。
「おめでとう、ルーカス」
三人は、心からの祝福を送った。
* * *
式が始まった。
オルガンの音色が、大聖堂に響き渡る。
ルーカスは、祭壇の前で待っていた。
緊張で、心臓がドキドキしていた。
そして、扉が開いた。
セラが、入ってきた。
父アレクサンダーに手を引かれて。
「……」
ルーカスは、言葉を失った。
セラは、本当に美しかった。
純白のドレスに身を包み、ベールの下の顔は幸せに輝いていた。
「綺麗だ……」
ルーカスは、思わず呟いた。
* * *
セラが、祭壇の前に到着した。
アレクサンダーが、セラの手をルーカスに渡した。
「殿下、娘をよろしくお願いします」
「はい。必ず、幸せにします」
「ありがとうございます」
アレクサンダーは、深く頭を下げて席に戻った。
ルーカスとセラは、祭壇の前で向かい合った。
「殿下……」
「セラ……」
二人の目が、合った。
言葉はなくても、気持ちは伝わった。
* * *
司祭が、式を進めた。
「本日、ここに、ルーカス・フォン・ヴェルスタイン殿下と、セラフィーナ・ヴェルディ殿の婚姻を執り行います」
荘厳な声が、大聖堂に響いた。
「ルーカス殿下、セラフィーナ殿を妻として迎え、生涯愛し、守ることを誓いますか」
「誓います」
ルーカスは、力強く答えた。
「セラフィーナ殿、ルーカス殿下を夫として迎え、生涯愛し、支えることを誓いますか」
「誓います」
セラも、力強く答えた。
「では、指輪の交換を」
二人は、指輪を交換した。
ルーカスが、セラの薬指に指輪をはめる。
セラが、ルーカスの薬指に指輪をはめる。
「ここに、二人の婚姻を宣言します」
司祭が、高らかに宣言した。
「花婿は、花嫁にキスを」
ルーカスは、セラのベールを上げた。
涙で潤んだ、美しい顔が現れた。
「セラ……」
「殿下……」
二人は、唇を重ねた。
大聖堂が、拍手と歓声に包まれた。
* * *
「おめでとうございます!」
「末永くお幸せに!」
「素晴らしい式でした!」
招待客たちが、次々と祝福の言葉を述べた。
「ルーカス、おめでとう」
クラウスが、握手を求めてきた。
「ありがとう」
「セラフィーナも、おめでとう」
「ありがとうございます」
「幸せになれよ、二人とも」
「はい」
仲間たちの祝福が、胸に沁みた。
* * *
結婚式の後、披露宴が開かれた。
豪華な料理、美しい音楽、温かい祝福。
幸せな時間が、流れていった。
「殿下……いえ、夫様」
セラが、照れながら言った。
「妻……セラ」
ルーカスも、照れながら答えた。
「夫婦になりましたね」
「はい」
「夢みたいです」
「夢ではないですよ。現実です」
「……はい」
二人は、微笑み合った。
「セラ、愛しています」
「私も、愛しています」
「これからも、ずっと一緒です」
「はい。ずっと一緒です」
二人は、手を繋いだ。
結婚式の夜。
二人の新しい人生が、始まった。




