第89話:卒業前の日々、仲間たちとの絆
婚約発表から、時が流れた。
ルーカスたちは、いつの間にか最終学年になっていた。
「殿下、もうすぐ卒業ですね」
セラが、感慨深げに言った。
「はい。早いものです」
「入学したときは、こんな日が来るなんて想像もしませんでした」
「僕も、です」
二人は、学院の校舎を見上げた。
ここで、多くのことを経験した。
友人を作り、敵と戦い、愛を育んだ。
かけがえのない場所だった。
* * *
卒業が近づくにつれ、仲間たちとの時間が増えた。
「ルーカス、卒業前に、みんなでパーティーをしないか」
クラウスが、提案してきた。
「いいですね」
「俺たちの、卒業記念パーティーだ」
「賛成です」
レオナルドとエリアスも、頷いた。
「では、週末に」
「ああ、そうしよう」
パーティーの計画が、始まった。
* * *
週末、寮の一室でパーティーが開かれた。
ルーカス、セラ、クラウス、レオナルド、エリアス。
五人が、集まった。
「乾杯!」
「乾杯!」
みんなで、グラスを掲げた。
「卒業、おめでとう」
「まだ、卒業してないぞ」
「もうすぐだろ」
「まあ、そうだけど」
みんなが、笑った。
* * *
「みんな、卒業後はどうするんだ」
クラウスが、聞いた。
「俺は、実家に戻る。家業を継ぐ予定だ」
「そうか」
「私は、王宮で仕事をする予定です」
レオナルドが、答えた。
「行政官として、国に貢献したいと思っています」
「立派だな」
「俺は……」
エリアスが、少し言いにくそうにした。
「俺は、教会で働くつもりだ」
「教会……」
「ああ。教会を、内側から変えたいと思っている」
「エリアス殿……」
「ルーカスとの出会いで、俺の考えは変わった。教会も、変わるべきだと思っている」
エリアスの言葉は、真剣だった。
「エリアス殿、応援しています」
「ありがとう、ルーカス」
二人は、固く握手を交わした。
* * *
「ルーカスは、どうするんだ」
「僕は……まだ、はっきりとは決めていません」
「そうか」
「でも、国のために働きたいと思っています」
「王族として、か」
「はい。僕にできることを、したいです」
「立派だな」
「そして……」
ルーカスが、セラを見た。
「セラと一緒に、幸せに暮らしたいです」
「殿下……」
セラが、微笑んだ。
「私は、殿下の傍にいます。それが、私の幸せです」
「セラ……」
二人は、手を繋いだ。
「おいおい、また始まったぞ」
クラウスが、笑った。
「仲がいいのは、いいことですよ」
レオナルドが、微笑んだ。
「末永く、お幸せに」
エリアスが、祝福の言葉を述べた。
「ありがとう、みんな」
ルーカスは、仲間たちに感謝した。
* * *
パーティーは、夜遅くまで続いた。
思い出話、将来の夢、冗談……。
みんなで、語り合った。
「楽しかったな」
「ああ、楽しかった」
「また、集まりましょう」
「もちろんだ」
みんなが、約束した。
「卒業しても、俺たちは仲間だ」
「そうだな」
「いつでも、連絡を取り合おう」
「ああ」
固い絆で、結ばれていた。
* * *
パーティーが終わり、みんなが帰っていった。
ルーカスとセラは、二人で残っていた。
「殿下、今日は楽しかったです」
「はい。みんなと過ごせて、良かったです」
「卒業しても、みんな仲間ですね」
「そうですね」
「殿下には、良い仲間がたくさんいます」
「セラのおかげでもあります」
「え……」
「セラが傍にいてくれたから、僕は変われました」
「殿下……」
「ありがとう、セラ」
「私こそ、ありがとうございます」
二人は、微笑み合った。
「殿下、卒業まで、あと少しですね」
「はい」
「寂しい気もしますが、楽しみでもあります」
「同感です」
「殿下と一緒の、新しい生活が始まりますから」
「はい。楽しみですね」
二人は、手を繋いで窓の外を見た。
星空が、美しく輝いていた。
それは、二人の未来を祝福しているようだった。
「セラ、一緒に幸せになりましょう」
「はい、殿下」
二人は、そっとキスを交わした。
卒業前の、大切な夜だった。




