第78話:冬休み、王宮での再会
学年末試験が終わり、冬休みが始まった。
ルーカスは、王宮に帰ることになった。
「セラ、冬休みはどうしますか」
「実家に帰る予定です」
「そうですか……」
「殿下は、王宮ですよね」
「はい」
「少し、寂しいです」
セラが、悲しそうな顔をした。
「僕も、セラと離れるのは寂しいです」
「殿下……」
「でも、また会えます。冬休みが終われば」
「はい……」
二人は、名残惜しそうに手を握り合った。
* * *
王宮に到着した。
アルベルトとヴィクトルが、出迎えてくれた。
「ルーカス、帰ってきたか」
「兄上、ただいま帰りました」
「試験の成績、聞いたぞ。10位以内とは、なかなかだな」
「ありがとうございます」
「セラフィーナ嬢も、15位だったそうだな」
「はい。一緒に勉強しました」
「良い関係だ」
アルベルトが、微笑んだ。
「さあ、父上が待っている。行こう」
三人は、謁見の間に向かった。
* * *
謁見の間で、国王フリードリヒ二世が待っていた。
「ルーカス、帰ってきたか」
「父上、ただいま帰りました」
「試験の成績、良かったそうだな」
「はい。友人たちと協力して勉強しました」
「良いことだ。協力できる仲間を持つことは、大切だ」
フリードリヒが、穏やかに微笑んだ。
「冬休みの間、王宮でゆっくりしなさい」
「ありがとうございます」
「教会派の動きは、今のところ静かだ。安心して過ごせるだろう」
「はい」
ルーカスは、父王に感謝した。
* * *
王宮での生活が始まった。
兄たちと過ごす時間が、増えた。
「ルーカス、剣の稽古をしないか」
ヴィクトルが、声をかけてきた。
「はい、お願いします」
二人は、訓練場に向かった。
「お前の剣、上達しているか」
「少しは……」
「見せてみろ」
ヴィクトルが、構えた。
ルーカスも、構えた。
二人の剣が、交わった。
* * *
「……なかなかやるな」
ヴィクトルが、感心した声を出した。
「セラと一緒に、訓練していますから」
「セラフィーナ嬢は、良い相手のようだな」
「はい。彼女は、強いです」
「お前も、強くなった」
ヴィクトルが、微笑んだ。
「しかし、まだ甘い。もっと鍛えろ」
「はい」
「俺が、特訓してやる」
「ありがとうございます」
二人は、稽古を続けた。
* * *
夕食は、家族全員で取った。
フリードリヒ、アルベルト、ヴィクトル、そしてルーカス。
「ルーカス、学院生活はどうだ」
「楽しいです、父上」
「友人は、できたか」
「はい。良い友人がたくさんいます」
「それは良いことだ」
フリードリヒが、満足げに頷いた。
「そして、セラフィーナ嬢との関係は」
「変わらず、良好です」
「そうか。それは、安心した」
「婚約内定、感謝しています」
「礼は要らない。お前が幸せなら、それでいい」
フリードリヒの言葉に、ルーカスの胸が温かくなった。
* * *
「ルーカス、最近の教会派の動きを報告しよう」
夕食後、アルベルトが声をかけてきた。
「お願いします」
「大司教との会談後、暗殺の動きは止まっている」
「良かったです」
「しかし、教会内部では、殿下を排除すべきだという声が根強い」
「……」
「特に、若い神官たちの中に、過激な意見を持つ者がいる」
「若い神官……」
「彼らは、大司教の方針に従わない可能性がある」
アルベルトの言葉に、ルーカスは考え込んだ。
「気をつける必要があります」
「ああ。油断は禁物だ」
「分かりました」
ルーカスは、頷いた。
* * *
冬休みの間、ルーカスは王宮で過ごした。
兄たちとの時間、父王との会話、訓練。
充実した日々だった。
しかし、セラがいないことが、寂しかった。
「セラは、元気にしているかな……」
小さく呟いた。
手紙は、何度かやり取りしていた。
セラは、実家で元気に過ごしているようだった。
『殿下へ
実家での生活は、穏やかです。
両親と一緒に、のんびり過ごしています。
殿下のことを、毎日想っています。
早く、殿下にお会いしたいです。
冬休みが終わるのが、待ち遠しいです。
セラフィーナより』
手紙を読んで、ルーカスは微笑んだ。
セラも、自分のことを想ってくれている。
それが、嬉しかった。
* * *
冬休みも、終わりに近づいていた。
王宮を出発する日が、来た。
「ルーカス、気をつけて行ってこい」
フリードリヒが、見送りに来ていた。
「はい、父上」
「何かあったら、すぐに連絡しろ」
「分かりました」
「そして、セラフィーナ嬢によろしく伝えておけ」
「はい」
ルーカスは、深く頭を下げた。
「行ってきます」
「ああ、行ってこい」
フリードリヒが、穏やかに微笑んだ。
* * *
馬車に乗り込む前、アルベルトとヴィクトルが声をかけてきた。
「ルーカス、頑張れよ」
「はい、兄上」
「何かあったら、俺たちを頼れ」
「ありがとうございます」
「お前は、一人じゃない。忘れるな」
「忘れません」
三人は、固く握手を交わした。
「行ってきます」
「ああ」
「気をつけろよ」
ルーカスは、馬車に乗り込んだ。
王宮が、少しずつ遠ざかっていく。
また、学院に戻る。
セラに会える。
その期待で、胸がいっぱいだった。
* * *
学院に到着した。
門をくぐると、見覚えのある姿が目に入った。
「殿下!」
セラが、走ってきていた。
「セラ!」
二人は、門の前で再会した。
「お帰りなさい、殿下」
「ただいま、セラ」
二人は、お互いを見つめた。
久しぶりの再会だった。
冬休みの間、離れていた。
その間、お互いを想い続けていた。
「会いたかったです」
「僕も、会いたかった」
二人は、自然と手を繋いだ。
「行きましょう、殿下」
「はい」
二人は、寮に向かって歩き始めた。
新しい学期が始まる。
また、セラと一緒に過ごせる。
ルーカスは、幸せを噛みしめながら、歩いた。




