表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしとんでもロボが異世界の第三王子に転生したら  作者: とま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/100

第59話:新学期、進級試験の準備

 冬が終わり、春が来た。


 学院は、新学期を迎えていた。


 ルーカスは、二年生に進級する予定だった。



 しかし、そのためには進級試験に合格しなければならない。



「殿下、進級試験の日程が発表されました」


 セラが、掲示板を見て報告した。



「いつですか」


「来月の中旬です。筆記試験と実技試験があります」


「筆記試験か……」


 ルーカスの顔が、少し曇った。


 筆記試験は、苦手だった。




 * * *




「殿下、筆記試験の対策、しましょうか」


 その夜、セラがルーカスの部屋を訪ねてきた。



「お願いします。筆記は、本当に苦手で……」


「分かっています。だから、一緒に勉強しましょう」


「ありがとう、セラ」


 二人は、テーブルに教科書を広げた。



「まず、歴史から始めましょう」


「歴史……」


「はい。試験範囲は、王国の建国から、現在までの主要な出来事です」


「覚えることが、多いですね」


「はい。でも、ポイントを押さえれば、大丈夫です」


 セラは、ルーカスに丁寧に教え始めた。




 * * *




 数日間、二人は一緒に勉強を続けた。


 歴史、政治、経済、魔法理論。


 様々な科目を、セラが教えてくれた。



「殿下、ここの問題、解いてみてください」


「えーと……」


「分かりますか」


「少し……待ってください」


 ルーカスは、考えながら問題に取り組んだ。



 前世では、戦闘に関する情報以外は、あまり処理していなかった。


 学問のような知識は、新しい分野だった。


 しかし、少しずつ理解できるようになってきた。



「正解です、殿下」


「本当ですか」


「はい。よく頑張りましたね」


「セラのおかげです」


 ルーカスが、嬉しそうに微笑んだ。


 セラも、微笑んだ。




 * * *




 勉強の合間に、実技の練習もしていた。



「殿下、実技試験の内容は何ですか」


「剣術と、模擬戦闘だそうです」


「それなら、殿下は問題ないですね」


「でも、力を抑えなければなりません」


「そうですね……」


 セラが、少し考えた。



「私と、練習しましょう」


「練習……」


「はい。力を抑えながら戦う練習です」


「いいのですか」


「もちろんです。殿下のためなら」


 ルーカスは、セラの申し出に感謝した。



 二人は、訓練場で実技の練習を始めた。




 * * *




「殿下、今の動き、良かったですよ」


「本当ですか」


「はい。力を抑えながら、的確な攻撃でした」


「でも、まだ強すぎませんか」


「少しだけ。もう少し力を抜いてもいいかもしれません」


「分かりました」


 ルーカスは、力の調整に集中した。



 普通の人間の力で戦う。


 それは、簡単なようで難しかった。


 無意識に、前世の力が出てしまうことがある。



「殿下、もう一度」


「はい」


 二人は、何度も打ち合った。


 ルーカスの動きが、少しずつ自然になっていった。



「殿下、上達しましたね」


「セラのおかげです」


「いいえ。殿下の努力の成果です」


「セラが教えてくれなければ、できませんでした」


「……」


 セラの顔が、少し赤くなった。




 * * *




 進級試験まで、あと一週間。


 ルーカスは、準備を続けていた。



 ある日、エリアスが声をかけてきた。



「殿下、進級試験の準備は順調ですか」


「はい。順調です」


「それは良かった。実技試験が、楽しみですね」


「楽しみ……」


「はい。殿下の実力を、拝見できますから」


 エリアスの目には、期待と警戒が混じっていた。



「普通に戦いますよ」


「そうですか。『普通に』、ですね」


「はい」


「楽しみにしています」


 エリアスは、去っていった。



 ルーカスは、その背中を見つめた。


 彼は、実技試験で自分の力を見ようとしている。


 気をつけなければならない。




 * * *




 試験前日の夜、セラがルーカスの部屋を訪ねてきた。



「殿下、準備は大丈夫ですか」


「はい。セラのおかげで、なんとかなりそうです」


「良かったです」


「セラも、試験があるでしょう。大丈夫ですか」


「はい。私は、問題ありません」


「流石ですね」


「殿下こそ、実技は心配していません。筆記だけ、気をつけてください」


「はい。頑張ります」


 二人は、微笑み合った。



「殿下、明日の実技試験……」


「分かっています。力を抑えます」


「はい。エリアス監察官が、見ていると思います」


「分かっています」


「無理をしないでくださいね」


「しません」


 ルーカスが、セラの手を取った。



「セラ、ありがとう」


「何がですか」


「いつも、支えてくれて」


「……当然のことです」


「でも、ありがとう」


 セラの顔が、赤くなった。



「おやすみなさい、殿下」


「おやすみなさい、セラ」


 セラは、部屋を出ていった。




 * * *




 進級試験の日が来た。


 まずは、筆記試験だった。



 ルーカスは、試験会場に入った。


 机には、問題用紙が置かれていた。


 セラの教えを思い出しながら、問題に取り組んだ。



 歴史、政治、経済、魔法理論。


 どの問題も、セラと一緒に勉強したものだった。


 なんとか、答えを書いていった。



「終了です。ペンを置いてください」


 試験官の声が響いた。


 ルーカスは、ペンを置いた。


 全ての問題に、一応は答えた。


 結果は、分からないが、できることはやった。




 * * *




 午後は、実技試験だった。


 訓練場に、受験者が集まっていた。



 ルーカスは、周囲を見回した。


 エリアスが、観客席に座っていた。


 鋭い目で、こちらを見ている。



「気をつけないと……」


 小さく呟いた。



「殿下」


 セラが、声をかけた。



「頑張ってください。でも、無理はしないで」


「分かっています」


「私も、後で試験があります。一緒に頑張りましょう」


「はい」


 二人は、拳を合わせた。




 * * *




 ルーカスの番が来た。


 相手は、騎士科の生徒だった。


 模擬戦闘の試験だ。



「始め!」


 試験官の合図で、試合が始まった。



 相手が、剣を振りかぶってきた。


 ルーカスは、それを受け止めた。


 力を抑えながら、戦う。



 相手の攻撃を、防ぎ、避け、時には反撃する。


 しかし、必要以上の力は使わない。


 普通の人間として、戦う。



 数分後、ルーカスは相手の剣を弾いた。


 そして、相手の首元に、剣先を突きつけた。



「そこまで! 勝者、ルーカス殿下!」


 試験官が、勝敗を告げた。



 観客席から、拍手が起こった。


 ルーカスは、相手に礼をした。



 エリアスを、ちらりと見た。


 彼は、何も言わずに見ていた。


 その目には、何か複雑な色があった。




 * * *




 試験が終わった。


 ルーカスとセラは、結果を待っていた。



「殿下、どうでしたか」


「実技は、問題なかったと思います。筆記は……分かりません」


「きっと大丈夫ですよ」


「だといいのですが」


 数日後、結果が発表された。



 ルーカスは、無事に進級を決めた。


 筆記試験は、ギリギリだったが、合格ラインは超えていた。


 実技試験は、高評価だった。



「殿下、おめでとうございます」


 セラが、嬉しそうに言った。



「ありがとう、セラ。セラのおかげです」


「私も、進級できました」


「おめでとうございます」


「ありがとうございます」


 二人は、微笑み合った。



「これで、二年生ですね」


「はい。また一年、頑張りましょう」


「はい。一緒に」


 二人は、手を握り合った。



 新しい学年が、始まる。


 新しい日々が、待っている。


 困難は、まだ続くだろう。


 でも、セラがいる。


 それだけで、頑張れる。



 ルーカスは、そう思いながら、未来を見据えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ