五話目やで
「慰夢ちゃん、犯人、分かるんか」
ホテルの大ホールに並べられた沢山の円卓に、☆☆高校二年生の一行は座り夕食を食べている。
その出入り口に程近いテーブルに心達七人は座っていた。
「かもです」
ノートパソコンを前に置いた慰夢は、夕食を食べながらそれを操作していた。
パソコンの画面にはさっき撮影した画像が映し出されている。
「なあ杪、大丈夫なのか」
美久が聞くと、対面に座っている杪が頷きながら答えた。
「ま、大丈夫やろ。盗まれたんは服だけやったし、新しいんを買えばええから」
慰夢はその言葉を聞き終えると同時にエンターキーを押し、秋見を見た。
「秋見さんは、犯人がどうやったか分かりましたです?」
聞かれた秋見はいつもの調子で返事をする。
「四つ」
それだけで何かが分かったのか、慰夢は頷いてパソコンの操作に戻っていった。
「何だか大変な事になったね」
心が玲に言う。
「そうね。まあでもそこまで気にしてもしょうがないわよ」
玲は乃野を見ながら答え、鶏肉を一口食べた。
「修学旅行を楽しむのが一番良いから、できるだけ早く犯人には捕まってほしいものね。所でさ、秋見」
そう言った乃野は、隣で玉子スープを一々スプーンで掬いながら飲んでいる秋見に向き直る。
「杪の悲鳴が聞こえる前に、何かあった?」
秋見はスプーンを音もなく置いてから答えた。
「あれ、私が日記、を忘れた、から」
「秋見って日記書いてるの」
「コクリ」
「口に出さんでええわー!」
杪の突っ込みが炸裂した。
「コクリ」
「いいえ、コクリじゃなくて、レガールです」
いつの間にかノートパソコンを閉じた慰夢が会話に参加してきた。
「あんたも、よう分からんこと、言うなー!」
杪の突っ込みがまたも炸裂し、笑い声が七人を包み込む。
笑ったことでほんの少し杪達の気持ちが楽になった。
秋見と慰夢は五人を笑わせた共犯者かのように目線を合わせていたが、誰もそれに気付く者はいなかった。




